JR上野駅公園口 柳美里

2017年2月20日初版発行 2020年12月21日4刷発行

全米図書賞受賞!の帯封、また様々に紹介されている話題作なので買いました。

帯封には「2020年『TIMEが選ぶ今年の100冊』」「パウエルズブックスが選ぶ今年最高の翻訳文学」選出とも。

この小説は評価が分かれるように思います。上皇(作品発表当時は天皇)と誕生日が一緒の主人公が、出稼ぎ後にホームレスとなり、家族とも知人とも寂しい暗い人生を送る、天皇の行啓幸の際には特別清掃という名目で居場所を追われる影の部分を丹念に描いていると言えば書いている。他方、日の光が当たる側への痛烈な批判とまでは言わないまでもやんわりとした批判的な通底音が終始静かに鳴り響いている、このコントラスト。どうでしょうか。果たしてこの作者の意図はどこに向けられているのでしょうか。東北出身の主人公のため、東日本大震災の場面が最後の方に突如として出て来て、これも全体の悲惨な物語性をより一層強烈なものに仕立てていますが、唐突感が私にはありました。というわけで評価が分かれるように思います。

ただ、全米でこれほどまでに評価されたという理由が正直知りたいです。