カルト資本主義 増補版 斎藤貴男

2019年3月10日 第1刷発行

はしがき

文庫版序章 カルト国家の愛国・道徳オリンピック狂騒曲

第1章 ソニーと「超能力」

    たゆまざる技術革新の競争の中で世界の覇者となったソニー。そのソニーに技術と馴染まぬある研究室がある。その存在を秘匿されてきた”ESPER研究室”が、バブル崩壊後公然と姿をあらわした

第2章 「永久機関」に群がる人々

    一度、動力を与えれば永久に動き続ける夢の機械「永久機関」は、エネルギー保存則の発見によりその存在を否定された。中学生でも知っているこの法則を、だがこの国の大企業は信じていないようだ

第3章 京セラ「稲盛和夫」という呪術師

    京セラの驚異的な生産性の秘密とは? 稲盛和夫が主宰する「盛和塾」にはその秘密を学ぼうと全国から中小企業の経営者がつめかけていた。だが、それは塾というよりは新興宗教の教団のようだった

第4章 「万能」微生物EMと世界救世教

    沖縄の国立大学の教授が開発したという微生物資材を、自治体が、医者が、教師が、”地球を救う万能薬”としてあがめている。が、その”万能薬”のルーツには、世界救世教の内部抗争があった

第5章 オカルトビジネスのドン「船井幸雄

    『脳内革命』、EM菌、オカルトビジネスの影に必ずこの男がいた。サラリーマンを魅了するこのドンは神官の家に生まれ、その職業経歴は、日本型経営を支えた労務管理の歴史とピタリ重なっていた

第6章 ヤマギシ会ー日本企業のユートピア

    全ての財産を寄進させる共同生活。50年代に始まったこのコミューン運動は、90年代、一大農業ビジネスに発展した。カルト集団と批判を浴びるこのヤマギシ会に、だが、日本の大企業は注目する

第7章 米国政府が売り込むアムウェイ商法

    米国ABC放送が「カルト」と表現したアムウェイ商法。日本でも問題が続出。ついに国民生活センターがカルト的な組織活動として警告を発した。だが、米国政府はアムウェイを徹底的に擁護する

文庫版最終章「カルト資本主義」から「カルト帝国主義」へ

主要参考文献

解説 武田砂鉄

 

458頁のもの、大部な書籍。じっくり読んでみた。恐らく賛否両論あると思う。

私は、著者の意見には必ずしも賛成できない箇所が多々あった。あまりに大部で一々拾いあげることがおっくうになる。壮大なテーマを取り上げているが、それぞれ著者の一面的な見方から書いているように思われる。もっとも読者に考えるきっかけをテーマ別に与えている点は評価されてよいのかもしれない。