絶対に挫折しない日本史 古市憲寿

2020年9月20日発行 

 

俯瞰的視点に立って、固有名詞を登場させず、日本史を、ざっくり分からせる力量はすごい。参考文献を随所に、丹念に拾っているので、努力の跡も認められる。面白いのか、面白くないのか、どちらとも評価できかねるように思う。が、普通面白くならないものを、その中間にまで持って行ったのだから、やはり凄いと思う。

いろいろ感心するようなエピソード的なネタを随所に盛り込んでくれている。例えば「実際、江戸時代に起こった1430件の百姓一揆を調査したところ、武器の使用や家屋への放火を伴ったものは、わずか1%程度だったという」として、注が引っ張ってあり、「須田務『幕末の世直し 万人の戦争状態』吉川弘文館、2010年」といった具合。こんな注を462個も各ページ(全部で307頁)に入れているのだから、やっぱすごいよね。勉強はきちんとしているという点では好感が持てます。ただし、視点の出し方とか語調は時にすごく気になります。あるいは時に嫌な感じを受けることもあります。