大河の一滴 五木寛之

平成11年3月25日初版発行 令和2年5月15日41刷発行

 

裏表紙「なんとか前向きに生きたいと思う。しかし、プラス思考はそう続かない。頑張ることにはもう疲れてしまった―。そういう人々へむけて、著者は静かに語ろうとする。『いまこそ、人生は苦しみと絶望の連続だと、あきらめることからはじめよう』『傷みや苦痛を敵視して闘うのはよそう。ブッダ親鸞も、究極のマイナス思考から出発したのだ』と。この一冊をひもとくことで、すべての読者の心に真の勇気と生きる希望がわいてくる、感動の大ロングセラー、ついに文庫で登場!」

 

私たちの生は大河の流れの一滴にすぎない。

しかし無数の他の一滴たちとともに大きな流れをなして、確実に海へとくだっていく。

 

屈原

滄浪(そうろう)の水 清まば

以て吾が纓(えい。冠の紐)を濯う可し

滄浪の水 濁らば

以て吾が足を濯う可し

 

人間の一生というものはそれぞれが、かけがえのない一生なのであって、それに松とか竹とか梅とかランクを付けるのはまちがっているのではないか。

 

無名のままに一生を終え、自分はなにもせず一生を終わったと、卑下することはないのではないか。生きた、ということに人間は値打ちがある。

 

名言と言われるフレーズが縷々見られる一冊でした。