#11 運命の対峙
イルジメはウンチェを物乞いの子供たちの下に返した。ウンチェを乗せた輿が家に着くと輿の中にウンチェが消えていなくなり騒ぎとなる。イルジメはウンチェを帰りの夜道を一緒について家まで送る。途中でウンチェを探しに来た者達から身を隠すため、二人で一緒に身を隠くした。ウンチェはイルジメが盗んだ物を元の持主に返したり貧しい者に分け与る義賊だという。無事に一人で家に帰ったウンチェは一人で輿から抜け出したとシフに説明するが、シフは勿論信用しない。物乞いの者達に薬と食料と多額の金が届き、物乞い達は自ら家を求めて立ち退いた。ヨンは旅館の床に暖房がないと体が冷えるとウンチェに嫌味を言いながらアドバイスする。ウンチェはシクにオンドルを用意すれば山の枯葉を活用でき、長年頭を悩ませた山火事対策になると説得した。ヨンはイルジメの姿で自ら腕を切ってウンチェに近づき部屋の中で手当てを受け、天友会の名簿を盗み出すのに成功し、会員の屋敷から宝物を次々と奪う。疫病が流行るとウンチェは自ら単身で助けに行くと言って、父シクが止めるのも聞かない。イルジメが疫病が流行る村に薬や食料や金を与えたことで民の支持が広がるのを恐れた王は、イルジメを捕まえた者は賤民は平民に、平民は両班に身分をあげるとの宣明を出した。名簿を戻しに行った後、ウンチェに会うと、そこにシフが通りかかり、イルジメを追い掛け、一太刀浴びせ掛ける。腹を切られたヨンをポンスンが担いでコンガルの下に運び治療を受けさせると、コンガルはヨンの胸に刻まれた彫物を見てヨンの正体を知る。
#12 やるべきことのために
シフはウンチェの部屋からイルジメが天友会の名簿を盗んだに違いないと考え、会員宅が狙われていることに気づく。全会員宅は複数の警備がしかれ、またもやシフに傷を負わされるイルジメだった。ヨンはコンガルに武術を教えてくれと頼み込み、山に籠って修業する。シフはイルジメを2度も逃したことから武芸を磨いていたが、シクにその姿を認められサチョンに武術の指導を請う。ポンスンはヨンに恋煩いし、山に籠ったヨンを追い掛け、コンガルの投げる雑巾を避ける秘訣を教える。王は謀叛の企てがあることを知り、ギョムを担ぎ出した者達を一網打尽にすることを計画する。
#13 幼い命のために
シクの旅館が完成した。これまでは旅人は食料や器や釜を持ち歩く必要があったが、身一つで泊まれる、オンドルも備え療養にも良いとウンチェが集まった人々に説明する。ウンチェはシフに弓を習う。ヨンはコンガルから刃のない剣を渡され、剣には殺人剣と活人剣の2種類あるが、剣で人を殺すなという。街に戻ると、清の勅使の息子チホンが酒を飲んで馬に乗り八百屋の娘ヤンスンを殺す事件が起きていた。ポンスンはチホンが逃げ帰った屋敷の前で座り込みで抗議する。ポンスンの姿に触発されて、ヤンスンの両親や知り合いも屋敷の前で座り込む。そこにはウンチェも加わる。ところが、義禁府が楯となりチホンを守ろうと殴り付けたため、ヨンの母らは鍋など武器になる物を持ち込み一層対立は深まる。シクはヒボン一味に一掃を命じるが、逆徒でないと気付くとヒボンは逆に加勢する。そこに義禁府が武器を持って一斉に殴り付け大勢を傷付ける。ヨンは隠れ家で密かに反撃の準備を進めていた。
#14 イルジメ、再び!
清の勅使は王を訪ね、屋敷を襲うのは清への侮辱だとして今日中に解散させろとねじ込み、シフはシワンに命じられて義禁府を代表して即刻解散しなければ投獄すると警告を放つ。暴動は一層激しくなり、兵士達が遂に民らに矢を向けると、屋敷の屋根の上にイルジメがチホンを縛り上げた姿を現す。イルジメを狙った弓矢の男に気付いたウンチェは男に向かって矢を射ることで男はイルジメを外す。イルジメはチホンを抱えてその場を逃走するが、その直前、セドルはイルジメの腕に巻かれたピンクの髪飾りを見てイルジメの正体に気付いてしまう。チホンは縛られて民の前に吊るされ馬糞を投げ付けられ、ヤンスンに謝る。民らの抗議は王に向けられ、民の王はイルジメだと鬨を挙げた。セドルはかつて錠前の開錠の仕方を教えた秘密の隠れ家に出向くと、ヨンの秘密を知るだけでなく、ヨンが殺されたウォノや姉と一緒にいる絵や梅の絵を書いているのを見て、過去の記憶も完全に戻っていたのにそれをひた隠しにしていたのを知って泣き崩れる。ヨンの次の狙いの3軒を突き止めたセドルは盗みをさせないために3軒回って錠前をつけ替えさせ、寝る時もヨンに抱き着き紐で互いを結び付けたが、ヨンはこっそり抜け出して次の盗みも成功させた。内1軒はセドルが万一の時のために逃げ道を用意しておいた。
#15 封じられた真相
天友会以外の家への3軒への忍び込みを成功させたイルジメの人気は街中で高まるばかりでイルジメに似せた服装が流行り、店では梅花酒などが振舞われた。シフは扉の外側から切られた痕跡から共犯者の存在を疑う。ポンスンはヨンに無理やりキスする。イルジメはウンチェに再会して助けられた礼を言い、ウンチェが仮面を取ろうとするとその手を塞ぎ、もう会えないかもしれないと言ってウンチェに目隠しをして口づけを交わす。ポンスンはヨンのために有金をはたいて元ウォノの屋敷で今はウンチェの叔母の屋敷を買おうとしたが拒絶され、梅の木だけ切ろうとしていたので全額出して梅の木を買った。ウンチェが10倍で買うと申し出たが時遅しだった。ウォノの友人だったキム・イッキはギョムに会う段取りをつけた矢先、王は狩りに全閣僚を参加させると、海辺でイッキは何物かに暗殺された。清の勅使がイルジメをあぶり出すために街の若者を連行してチホンの弓を脅威に晒した。ヨンは若者が弓で射られるのを見かねて自らが身代わりになる。イルジメと相通じた者がチホンに弓を射たことからその共犯者を捕まえるためだという理由をデッチ上げ、共犯者が現れなければ若者を皆殺しにするとの宣旨が出た。イルジメは若者がとじ込まれている部屋から全員を救い出し、清の勅使親子を箱詰めにして港に送った。
#16 父の思い
イルジメに民の人気が集中し朝廷への不満が高まったため、王は清の勅使親子を追放し、謀叛派一派の財産を没収した。9年ぶりに世子が王の下に帰国したが、王は清と世子が結託して廃位を迫ると考えて腹黒い顔を見せ始めた。コンガルが婚礼式を開くと聞き、ヨンはセドルとタンがまだ式を挙げていなかったのを知って二人のために準備を始め、ウンチェの建てた旅館で周囲の人々も協力して式を挙げ、セドルとタンは結ばれた。イルジメは西洋式錠前にてこずり捕まりかけた。セドルは秘密兵器を持ち出して西洋式錠前の開錠の仕方を教え、自ら箱の中に入って極限状態の中でヨンに開錠技術を会得させようとする。一方、シフはシフの出生の秘密を知る男からシクが実父でないと聞かされて母タンに怒りをぶつけ、タンは実の父はセドルだと嘘を付く。イルジメの次の標的がヨンスの屋敷だと知ったセドルはイルジメに扮して屋敷に忍び込み、シフに捕まる。一方、ヨンは旅館が火事になり中にいたウンチェを助けた後にヨンスの屋敷に近づくだけしか出来なかった。セドルはヨンスの屋敷で何を聞いたか白状するよう拷問を受ける。帰国した世子は体調を崩し、煎じたものにトリカブトを少量ずつ入れられていた。
#17 最期の言葉
セドルは拷問を受け瀕死の状態に陥り、意識不明のままシフに背負われタンの元に戻るが、二人の息子とタンのことを想いながら二人の息子をタンに託して亡くなった。同時に世子も亡くなる。ヨンはシワンに連れられて意識を無くすほど酒を飲むがシワンが代金の代わりにヨンの胸にあった帯飾りを芸妓に預ける。ヨンはセドルが屋敷で何を聞き何故殺されたのか突き止めると誓う。ヨンはヨンスのいる屋敷に忍び込むが、ヨンスは既に殺されていた。だがイルジメが殺人犯にされ、犯人として張り出されていた。死体を調べると体を麻痺して急所を突き死亡させるという暗殺のプロの仕業であることが分かる。王が弟を殺して王座に就く時に協力した7人のうち残った1人ビョンソプに、王はイルジメを捕らえよと命じる。ビョンソプはイルジメを待ち構えていたが、別の男に殺され、イルジメはその男を追い、その後を追ったシフを打ち勝つが、留めを刺すのを止めるとシフから反撃を受けて仮面を斬られた上で重傷を負う。仮面を外したイルジメはチャンと出会い、チャンはヨンがイルジメであることを知るが、息子を救ってくれた恩を感じて逃がしてくれるが、ヨンが逃げ帰ったのはセドルとタンの家だった。シフはイルジメを追い掛けてイルジメはヨンだったことを知る。実の父だと思っているセドルはイルジメのせいで殺されたと思っているシフはヨンを殺そうとするが、タンは2人は実の兄弟だと打ち明けて思い留まるが、父は謀叛人だとしか説明できず、シフは納得できない。ピョンソプを殺害したのもイルジメだと貼り紙を出し、民が信じるかの動向を探ったサチョンと部下ムイが街中を歩いていると、ムイがかつての仲間だったコンガルを見つけ、コンガルがポンスンを娘として育てているのを知り、娘は兄を殺したのがコンガルだと知っているのかと話すのをポンスンは傍で聞いてしまい、コンガルの下を飛び出す。ピョンソプの死体をシワンと一緒に調べたヨンは、イルジメが刺した傷でなく刀を投げて出来た傷だと教えて、殺した場面を目撃したという使用人の話が嘘だと暴くと、使用人を刀を投げ付けられ、今わの際にシクの名前を出す。イルジメはウンチェの前に現れ、今までウンチェを利用してきたが用済みなので二度と会わないと告げて姿を消す。イルジメはシクの屋敷に盗みの予告を行い、シクは隣家を宝物の隠し場所に隠れていたが、ウンチェから聞いていた話から隣家に忍び込んだイルジメはシクに刀を突き付けて、ウォノの家にニセの血判状を埋めたことを白状させた。その瞬間、ウンチェがイルジメに刃を突き付ける。
#18 復讐を前に
イルジメはシクから全ての真相を聞くためウンチェから刀を奪い、ウンチェに刃を突き付けてシクから真相を聞き出した。王に寵愛されたウォノに嫉妬して謀叛の罪を着せ、中心人物だったピョンソプが仲間を殺したと聞く。ウンチェは父シクを助けてほしいと縋り、イルジメはその場を去る。殺すべき相手が死んでしまったことを知ったヨンはイルジメを封印する。ポンスンが買った梅の木の側にいると、ヨンが現れ、ヨンが大事にしている梅の木を買ったことを教え、兄が殺されて一緒にいると言ったギョムがヨンだというのを知っていることも伝える。王はシワンやシフを王の護衛官に任命する。清から世子崩御の弔意のために将軍と勅使がやった来た。清は大陸統一のため兵を募っており、王は清に協力する志願兵を募った。志願兵には家族を救うために米10石と反物10疋が支給されるのを知り、ヨンの親友デシクは親のために志願する。ヨンはイルジメを封印して畑に仮面を箱詰めして隠したが、ポンスンがそれを見つけてイルジメの正体がヨンだという事も知った。ヨンは朝廷のやり方に憤りを感じて清の志願兵の歓送会の当日に盗みに入ると予告する。彼らの危険を察したヨンは再びイルジメとして立ち上がる。サチョンにイルジメとウンチェが恋仲だとバレ、シクは済州の官吏に左遷させられる。ポンスンはヨンの下でイルジメが宮殿に侵入する準備の手伝いをし、ヨンの親友だった宮殿内の靴職人もヨンの正体を知って宮殿内の地図を調達してくれた。ウンチェがサチョンの下に攫われ、イルジメの居場所を言わなければ手指を切るとシフに命じ、イルジメはウンチェの切断された指を発見して罠だと分かりつつも指定の場所に呼び出しに応じるが、捕えれてしまう。ウンチェとイルジメが両方とも吊るされ、イルジメが宮殿に忍び込む本当の理由を白状させようとする。ウンチェが熱湯に落とされる危機一髪のところでシフがウンチェを助ける側に回り、イルジメはウンチェを連れて逃げる。ウンチェの指は切られていなかった。シフは自分の指を切ってヨンに送っていた。サチョンはシフを裏切り者として刃を向け首を斬る直前で寸止めして立ち去った。ヨンの隠れ家を襲った者たちはポンスンがイルジメの装いを纏ったのをイルジメと勘違いして跡を追う。ウンチェは初恋の人をそして最後の恋になる人を一生秘めていけるように一度だけ素顔を見せてほしいと頼み、仮面を外そうとした。
#19 大切な人たちのために
ヨンの代わりに死ぬつもりでイルジメに扮したポンスンがサチョンらに追い詰められ、そこにコンガルが現れて自らの手でポンスンを殺すと周囲に告げて刃を向けた後、一緒に崖からポンスンに体当たりをして一緒に飛び降りて海に転落した。ポンスンの跡を追ったヨンだったが、間に合わず二人が崖から転落していくのを目撃する。宮殿は大明帝国と清の対立抗争に巻き込まれ、王は明のために動くようサチョンに密に指示を出す。ポンスンやコンガルが死んでしまったことに塞ぎ込んでいたヨンだったが、セドルらを殺した真犯人を探し出すことを改めて誓い、復讐に立ち上がった。ヨンは一人で宮殿に入って親友デシクを救うことはできないと考え、ヒボンらやチャン親子にもイルジメがヨンであることを教えて多くの味方を得て宮廷に乗り込む準備を行う。ヨンはシワンに宮廷の警備体制を聞き出し、シワンから済州に父シクと一緒に移るウンチェに挨拶をしていけと言われる。ヨンはウンチェが仮面を外そうとしているのをギリギリのところでやめさせていたのでウンチェには顔はバレていなかったので、ウンチェは何も気付かず去っていった。タンはヨンのためにイルジメの衣装を用意する。ヨンの実母タンは芸妓として働く先で帯飾りを持つ芸妓を見つけて、これを手がかかりに息子のヨンが生きているのを知り、帯飾りを持って宮殿まで出向くと、ヨンが中国の使臣に成りすまして宮殿に入るところだった。帯飾りを持つ女性がいるのを見つけたヨンは母が生きていることを知って、母と目が逢い互に涙を流す。ヨンは宮廷内の屋敷に潜り込み剣に刻まれた文様を頼りに真犯人を探すが見つからない。
#20 最後の対決
デシクらはイルジメの指示通り地面を掘り宮殿の外に脱出することに成功する。王は明に送る兵士らがいなくなり、朝鮮を明のために前線の戦場として差し出す旨の証文を差し出すが、ヨンは宮廷内で爆破事件を次々に起して混乱させ、その隙に証文を盗み出す。ヨンは遂に目標の文様を見つけ、父を殺した真犯人は王であることを突き止めた。シフはサチョンの部屋の中に隠された血書を見て、実父ウォノが謀叛の罪に問われた原因は自分がウォノの屋敷に血書を埋めたことが原因だったことを知り愕然とする。シフはヨンと対決するが、自らウォノの息子であると告げ、ヨンの味方に加勢する。ヨンはシフから王の居場所を教えられ、その部屋に単身乗り込む。ポンスンとゴンガルは生きていた。王を人質にしたヨンは兵士に取り囲まれるが、そこにシフとコンガルが加勢し、ヨンは王を引き連れて父ウォノの墓前に土下座させた。王はウォノが弟であることを明かし、梅の木の前で謝罪し、冤罪を晴らす約束をすると、ヨンは人を殺さないという父ウォノとの約束を守って殺さずに帰した。その後、サチョンが現れ、ヨンはサチョンに打ち勝つが、とどめを刺さずに背を向けると、サチョンは背後からヨンを切り捨てた。が、帰り道サチョンはシフに首を斬られて殺される。4年の月日が流れた。ポンスンもコンガルも元気に暮らし、シフはヨンを兄弟と認め民と一緒に生活する途を選び、ウンチェは街に戻ってヨンが元気かと回りに尋ねる。タンは5歳になるセドルそっくりの子をハンと一緒に育てていた。ところが王は退位せず、今でもサチョンを頼りにして労咳を晒していた。そのため、イルジメは再び王を懲らしめるために復活して宮殿に忍び込む(エンド)。
王朝にいる王は民の敵で、義賊イルジメこそが民の王である。が、それよりも親子の情の深さ、兄弟の情の深さを考えさせる作品だった。ウンチェとイルジメの恋は成就することもなく、また当初犬猿の仲だったが、ヨンがかつて兄として暮らしたギョムだと知り、ポンスンがヨンに恋心を抱くも、ポンスンの恋も成就しなかったところは切ない。