カクテル・パーティー 大城立裕

第57回芥川賞受賞作(昭和42年)。親善の論理の欺瞞が暴かれていくという解説(本浜秀彦)もよくわかるが、他面で、親善なるものとはそういうものだという理解もされているように思う。沖縄問題、基地、アメリカ等々、勉強せねばならないことだらけだ。ちなみに前半は「私」で、後半は「お前」という主語の切り替わりは、なぜなのだろう?

 

その謎は、今朝、解けた! 2022年6月20日NHKラジオアーカイブスで流れた「声で綴る昭和人物史―大城立裕」を聞いていたら、「私」という一人称の主語は、私の主張・弁解であり、どうしても、そこには甘えがある、逆に「お前」という二人称の主張は、甘えを許さない、その使い分けをすることで、沖縄という問題を扱うときには単なる抵抗文学に終わらせずに、沖縄という被害者の立場を取りつつ、自ら(日本人)の中国に対する罪に向き合うことの難しさを表現しようと思って工夫した表現だった、という本人の解説を読んで、あー、なるほど、と。そういうことだったのか、と得心がいった。そういった読み方を改めてする必要があると思った次第である。

ちなみに、沖縄で初の芥川賞受賞作であるとともに、まだ沖縄が本土復帰する前の受賞であることにも気づかされた。