100分de名著 銀の匙 中勘助 斎藤孝

「自分の頭の中で起こる想像の世界にこそ価値がある」という考えのもとに、私たちは文学を読むのです。

「私は常にかような子供らしい感嘆をもって自分の周囲を眺めたいと思う。人びとは、多くのことを見馴れるにつけただそれが見馴れたことであるというばかりにそのままに見すごしてしまうのであるけれども、思えば年ごとの春に萌えだす木の芽は年ごとに新たに我らを驚かすべきであったであろう」