西洋美術史 世界のビジネスエリートが身につける強要 木村泰司

2017年10月4日 第1刷発行

2018年3月6日 第8刷発行

 

表の帯封に「美術史を知らずして世界とは戦えない」、裏の「約2500年分のアルカイック/クラシック/ヘレニズム/ローマ美術/ロマネスク/ゴシック/ルネサンス/北方ルネサンスヴェネツィア派/バロック/オランダ絵画/フランス古典主義/ロココ新古典主義ロマン主義/レアリスム/イギリス美術/バルビゾン派印象派・・・西洋美術史が一気にわかる」とある。

 

これで購入を決めました。しかも表紙裏の帯封にも「美術とは”見る”ものではなく”読む”ものである」とも。読まずにいられないキャッチでした。

 

しかも、買って大正解。断片的な知識が一気に歴史の中に位置づけられ、知識を再構築することができます。最近読んだ本の中でもトップ10に入る面白さであることは間違いありません。書籍の冒頭にある年表は見開きになっていて、いつも歴史の流れを押えつつ、今、どの時期のことを読んでいるのかについて確認しながら読み進められます。

 

個人的には、宗教改革によって、信者だけでなく収入も激減したカトリック教会が反撃に出た、として、1540年にパウルス3世がイエズス会を認可し、全世界へ布教伝導の徒を放つとともに、公会議を開催して自己革新運動を進め、会議の結果、宗教美術の表現には、誰でも一目見れば理解できる「わかりやすさ」と「高尚さ」を求めるよう決められ、そして生まれたのが『バロック美術』だというくだりが大変興味を引きました。筆者も指摘しているとおり、カトリック教会が宗教美術の力を利用したのは現代でいうメディア戦略であり、「宗教画=目で見る聖書」によって、わかりやすく、そして劇的に信者の宗教心に訴え帰依させようとした、というくだりに感心しました。

そして、この続きで、カラバッジョが登場するわけです。

全頁がこんな感じで、ワクワクしながら読めます。アニメに言ったら、今、流行りの鬼滅の刃に勝るとも劣らない面白さがありました。著者と帯封のライターに感謝です。