絶海にあらず《二》 北方謙三

2011年5月20日

 

純友が野忽那(くつな)島へ船で出掛けた際に筑前鳥旗の水師小野氏彦が現れて不公平を是正して欲しいと訴えてきた。純友が安材に伊予で船を自由に動くようにした方がよいと語り、宮崎安清には淀川以外の商材運搬ルートを探すよう指示した。安連は安材の報告を聞いた。純友は海賊相手に追討令を実行して船を通し、船の制限をするがこれを繰り返して伊予沖を通る船を飛躍的に増やすと言い、安連としては唐物をこれまで以上に動かさなければいいだけの話で、表に伊予掾が立てばよく、越智一族が表に出なければよいと考えた。純友は名の知れた明田左近の娘佐世を妻にした。小野氏彦と数名の水師に海上で会った純友は氏彦らに海賊をやれという。越智安連は純友という男に会いたくなり会ったが、純友という男を理解するには時間がかかると直感した(第5章 水魁)

唐物を積んだ船が本物の海賊四艘に追われた。32人を捕囚し京へ向かうと、純友は伊予掾兼任で追捕海賊使に任じられた。伊予に戻ると早速組織を作り始めた(第6章 海鳴りの日)。

純友が伊予西部を見に行き、2度大佐田二郎に会った。純友は猿鬼に加えて大佐田二郎を従者に加えた。23歳の弟純素が伊予東への最初の旅で36歳の吉乃という百姓の女と出会い、純素の子を孕み妻に娶りたいと言い出し大層驚いた。羅水軍の残党の海賊が瀬戸の内海に入っているという情報が純友に届いた。三艘とも制圧して110名程国府まで連行した。純友は吉乃に直接会いに行って吉乃を自分の目で見定めた。百姓とはいえ豪族の娘で、心の綺麗な女性であることが分かった純友は、妻になってほしいと頼んだ。雪童子が純友の前に久々に現れ、純友が触れてはならぬものに触れつつあると警告を伝えてきたが、心のあるがままに生きようと純友は雪童子に語った(第7章 ただ常なる日々)。

 佐世が男の子を生み、重太丸と名付けられた。純友は新羅船2艘を拿捕し、純友は良平に、海賊が内海に入り込むのは大宰府の責任であり、新羅船を野放しにしている大宰府に何とかするよう申し入れた。良平は好古に、純友の真意を探るよう命じる。純素から吉乃を妻に迎い入れることができると純友に報告があった(第8章 遥かなる波濤)。