畑村式「わかる技術」 畑村洋太郎

「わかる」とはどういうことか。
脳科学的に説明すると、「脳神経の髄鞘化」(小泉英明)。
畑村式でいうと、事象を理解するためのテンプレートを作るということ。

「直観」と「直感」のちがいを考える(50頁以下)。
この部分(特に「直感」=「勘」not「直観」とする箇所)は、私の考えとは異なるので、中略(確かに、哲学的には「直観」と「直感」は別ものだとされるが、果たしてそうなのか?勘には「山勘」ともう一つの「勘」があると思う。直感も同様)。
但し逐次思考と飛躍思考を対比して、飛躍思考(思考のショットカット)が直観でわかるという説明の仕方は「直観」と「直感」との言葉遣いの違いはあるものの一定程度理解できる。
過去に徹底的にそのことについて考え、演習をして答え合わせまで行う経験をしているから「直観でわかる」と説明している。

「公理」と「定理」の違い(82頁)はなるほど。

「課題設定」が自分でできるかを問うのは納得できる。課題解決能力より設定能力こそ今の時代状況こそ重要視されるべきだという意見には賛成できる。

文字情報と絵を併記する伝達方法のルーツは海外にあり(145頁)。
分かりやすい絵を書くというのはどういうことか。
起きたことを理解し、ポイントを整理して表出する「定式化」作業を通じて、ここから何を学ぶかという「知識化」の作業が始まる。

失敗学と創造をテーマに研究をつづけてきた著者が、その前提として、そもそも「わかる」とは一体どういうことか、を分かりやすく伝えようとした作品です。
学ぶところ、気づきの多い本でした。