そして「人格とは秩序である、自由というものも秩序である」と論じている(78p)。
人生論の中の「幸福」で三木は「むしろ我々の時代は人々に幸福について考える気力をさえ失わせてしまったほど不幸なのではあるまいか」と指摘しているとのことだが、大変鋭い指摘だと思う(20p)。
虚栄心と名誉心を区別し、「虚栄心はまず社会を対象としている。しかるに名誉心はまず自己を対象とする。虚栄心が対世間的であるのに反して、名誉心は自己の品位についての自覚である」とする(49p)。
第1高等学校中に、西田幾多郎の「善の研究」に触れて「嘗て感じたことのない全人格的な満足を見出すことが出来て踊躍歓喜」し、「私に哲学をやることを決心させた」三木という人はとてもすごい人なんだなと思います。