世界 2020年8月号 「『武漢日記』に宿る特殊の中の普遍」ー方方が綴る中国社会の現在地 吉岡桂子

今月の「世界」も面白い。

 

さて、武漢封鎖2日後の1月25日から3月24日までの日記を、リアルタイムで現地でつづった高名な文筆家である方方(ファンファン)が、最も言いたかったこと。そして、それに対する中国の反応。このコントラストは、今の中国を知るのにとても良い教材だと教えてくれる一考です。

 

地元政府が人から人への感染をなかなか認めず、中国当局がそれを認めたのは1月20日。それまでの間、多くの命が失われたこと、それが政府の無策によるため、強い憤りを何度も綴っている。その後、爆発的傾向に変化がみられるのと同時に、政府が感染を抑制した成果を強調し出し、感謝を求め始めるようになると、これに対し嫌悪を吐露する。これに対するネット空間上の彼女に対する言論風圧、世論誘導がこれまた酷い。これを「特殊の中の普遍」という表題で表そうとしていると感じたが、もっと端的な表題を付けて、もっともっと多くの人にこの問題の根深さを知ってもらいたいと思いました。大変有益な一考だと思います。