親鸞 激動篇(下) 五木寛之

2012年1月14日第1刷発行

 

恵信と平和な日々を暮らす。長男良信と次男明信が誕生。施療所には法螺房弁才が医師としてやって来る。4年8か月経って、法然が京に戻ることが許されるとの報とともに親鸞にも赦免状が届く。その矢先、上人の訃報が届く。親鸞は、自分の道として念仏の道を切り拓いていく決意を固める。新しい守護代が来ると、弁才はお払い箱にされ、郡司も辞めるという。弟子として振舞っていた鉄杖が心の臓を刺して自害した。犬麻呂から河原坊浄寛の頼みとして関東行きを持ち掛けられて迷う。長男を犬麻呂に育てさせて欲しいとも頼まれる。長男を犬麻呂に託し、恵信らを連れて常陸に向かう。道場で自らの来し方を説き、偈を歌う親鸞。生きている者の悩みを解決したり救ったりできるわけではないが、自分は法然の念仏で救いの道を得たと述べる。笠間の稲田に移り、山伏弁円は親鸞を斬りに来たと言って現れるが弟子となる。恵信は稲田に移った後も1男2女をもうける。口がきけないと思っていた鹿野の娘小野が性信房に恋していると恵信から聞かされた親鸞はとんでもないことだというと、恵信から親鸞を許せぬと言われて激しい口論となり恵信に手をあげた。その瞬間、口のきけなかった小野がやめてくださいと声に出して、京に行き母を探したいという。明法房や頼重房を弟子にし、白念仏と黒念仏が人の口にのぼる。明法房とかすみが黒念仏の実態を調べるために潜りこむが、黒面法師に捕まる。親鸞が駆けつける。明法房の指が1本ずつ折られていく。10本全部折り、念仏で悪人は救えないと言えと迫る。そこにまたしてもツブテの弥七推参。死んだと思った當麻も現れ、黒面法師はまたも逃げ去る。年月が過ぎ、親鸞も頭頂部に地肌が見えるように。親鸞の下に通う真仏と頼重房とのやり取りをそばで聞いていた唯円が突然弟子にしてくれと駆込んでくる。凶作が続く中、恵信は越後に帰る。親鸞教行信証をまとめ上げ、浄寛が亡くなると、稲田につなぎとめていた錨が切れたと感じ、法然上人の遺教いまあやうしと聞いた親鸞61歳の時、都に登る。