歴史を知る読書 山内昌之

2023年4月28日第1版第1刷

 

帯封「これぞ、『知』の醍醐味 歴史家が本の読み方を語り、名著75冊を厳選して紹介」

「□私の読書法…大きめの付箋と二色のマーカー □『エネルギーの人類史』…先史から現代へ変遷見渡す □『Humankind 希望の歴史』…小社会では親切で共感力のある人が権力を得る □『アルファフリー』…公平な者は異教徒でも望ましい □『言志四録』…歴史で混沌を乗り切る □『昭和天皇実録』…歴史全体を俯瞰する意義 □『徳川家康』…家康はなぜ「大坂の陣」開戦に踏み切ったのか □『ギリシア人の物語』…美談では守れない民主主義 □外交の戦略と志』…志の高い外交とは □『ハイブリッド戦争』…宇宙・サイバーを通した挑発や衝突を読み解く」

表紙裏「頼山陽の『日本外史』は司馬遼太郎の小説に匹敵するほど面白い本である。一方で偏った読み方をされやすい一冊でもあり、例えば吉田松陰は弟子たちと本書を読む際、平和を築いた徳川の功績を全く無視してしまった。古代ギリシアプルタルコスが説く『ヘロドトスの悪意』の第三に当たると言えよう―。歴史学の泰斗が歴史書を読む愉しみや落とし穴を語った上で、青春時代最も感動した作品『留魂録』、美談や偽善では民主主義を守れないことを教える『ギリシア人の物語』、大きな時間枠でエネルギーを考える『エネルギーの人類史』など名著75冊を紹介。」

 

目次

第1章 歴史書の愉しみ方と落とし穴

第2章 歴史を俯瞰する名著

   『歴史と私』『大世界史』『世界史の大転換』『使える地政学』『歴史は実験できるのか』

『日本4.0』『エネルギーの人類史』『人とことば』『世界神学をめざして』『Humankind 希望の歴史』*『服従

第3章 歴史上の名著

    『アルファフリー』『知恵の七柱』『地中海』『言志四録』『復興亜細亜の諸問題』『回教概論』『最終戦争論』『昭和天皇実録』『アシェンデン』

第4章 近年の歴史学の成果

江戸城下町における「水」支配』『儒学殺人事件』『将軍と側近』『吉田松陰とその家族』『大正政変』『花の忠臣蔵』『六国史』『徳川家康』『観応の騒乱』『ギリシア人の物語』歴史の勉強法』『維新史再考』『大学的長崎ガイド』『刀剣と格付け』『細川忠利』『不忍池ものがたり』『小早川隆景・秀秋』『シリーズ三都 江戸巻』『内モンゴル 近現代史研究』『徳川の幕末』『その日信長はなぜ本能寺に泊まっていたのか』『潜伏キリシタン図譜』『恋する日本史』『徳川秀忠』『攘夷の幕末史』『繭と絆』

第5章 現代を読み解くために

『外交の戦略と志』『地政学の逆襲』『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる』『ドル消滅』『対欧米外交の追憶』『ブンヤ暮らし36年』『大震災に学ぶ社会科学 第7巻:大震災・原発危機下の国際関係』『「イスラーム国」の生態がわかる45のキーワード』『アラブからのメッセージ』『幻の東京五輪・万博1940』『前へ、そして世界へ』『規制の虜』『娼婦たちから見た戦場』『随行記』『問題は英国ではない、EUなのだ』『難民問題』『チュニジア革命と民主化』『外国人レスラー最強列伝』『岡部いさく&能勢伸之のヨリヌキ「週刊安全保障」』『プーチンの世界』『アルカイダから古文書を守った図書館員』『グローバル・ジハードのパラダイム』『英語で発信! JAPANガイドブック』『危機に立つ東大』『グローバル時代のアメリカ』『フジテレビプロデューサー血風録』『ハイブリッド戦争』『コーカサスの紛争』

 

75冊のうち、何冊読み切れるか?挑戦してみたい。

アメリカのイラク戦争に突入したジョージ・W・ブッシュ大統領はじめラムズフェルド国防長官が開戦前に『知恵の七柱』を読んでいたとは考えられない。ゲリラ戦の何たるかを学ぶことなくイラクに攻め入り、その結果多くの人命が失われた。指導者たちの無知と傲慢さは厳しく非難されるべきであろう。

プーチンについて、革命に頼らずして大変革を成し遂げようとしたストルイピンを彼が評価していること、当面する問題に立ち向かう際に歴史から類似例や模範例を引き出してくる天才であると評している。

 

少し時間が経過するだけで当たっているなと思う箇所もあれば、ん?と思う箇所もある。歴史を語り、史観を養うのは容易いことでは決してない。だがそれは努力しなくていいということには決してならないだろう。