ゼロからわかる量子コンピュータ 小林雅一

2022年6月20日第1刷発行

 

裏表紙裏「経済安全保障の最優先課題『量子コンピュータ』の入門書!いま世界各国では、既存のスーパーコンピュータを遥かに凌ぐとされる『量子コンピュータ』の大規模な開発プロジェクトが進み始めている。本書はそれを無条件に肯定したり、あるいは逆に頭ごなしに否定するといった内容ではない。量子コンピュータの基本的な原理から産業的側面、さらには社会・政治的インパクトに至るまで、多面的な事実を積み上げ考察を加えることにより、その際どい実現可能性を検証していくのが本当の狙いである。はたして『夢の超高速計算機』は本当に実現するのか―。」

 

目次

はじめに

第1章 巨額の投資対象に変貌した「科学の楽園」―量子コンピュータとは何か

第2章 現実離れした「量子コンピュータ」のしくみ-謎の超高速計算機はどう動いているのか

第3章 量子コンピュータは世界をどう変えるのか―自動車・金融からメタバース・AIまで

【自動車】渋滞を解消しサプライチェーンの最適化

【金融】投資ビジネスの競争優位性を高める

【化学】最適な組み合わせを見つけバッテリー開発に活かす

【製薬】創薬にかかる膨大な時間とコストを圧縮

【物流】配達ルートや輸送手段の効率化

【AI】量子機械学習の計り知れない可能性

メタバース】巨大な仮想経済圏を難なく支える超並列コンピューティング

おわりに

 

量子コンピュータのアイデアを最初に提唱したのはファインマンで、1980年代初頭。

・グーグルが2019年にスパコンなら1万年かかる計算を量子コンピュータを使って3分20秒で終えたとする量子超越性の実験結果を発表して各国が巨額予算を投じるようになる。

・しかし、現実世界で通用する本格的な量子コンピュータに必要な「誤り訂正(誤り耐性)」技術は理論的には存在するものの技術的には確立されていない。

量子コンピュータはどんな問題でも超高速に解決できる汎用マシンではなく、ある特定の難問だけに並外れた力を発揮する特殊用途の計算機と見るべきである。