軍隊のない国コスタリカ 早乙女勝元編

1997年7月10日初版発行

 

目次

1 コスタリカってどんな国?

2 首都サンホセの空は青く

3 子ども病院から家なき子らの家へ

4 町をあげての大フェスティバル

5 アリアス元大統領と語る

6 平和な国に人びとは生きて

あとがき

 

・アイリス元大統領の伝記『平和をわが手に』(竹井博友著)に、1996年の国連総会での演説内容が収められている。「私は、武器を持たない国から来ました。私達の子供達は、戦車を見たことがありません。武装したヘリコプターや軍艦どころか、銃でさえ見たことがありません。子供達の親や祖父母は若い子達に、昔、学校に特別な建物があって、それが要塞として使われていた話をします(略)私はわずか数年の間に外国からの25万人の難民を保護した国から来ました。男が、女が、そして子供達が、暴君から、希望のない悲惨な状況から、また同胞の暴力から逃れて、コスタリカの自由と平和の中に保護を求めて、私達の国に来ます。このような難民は、わが国の人口の10%にのぼり、その多くはニカラグア人です…」

・1949年のコスタリカ共和国憲法第12条

「・常備軍としての軍隊の保有を禁止する ・公の秩序の監視と維持のために必要な警察力を保持する ・全(米)大陸間内の協定により、あるいは国民の防衛目的によってのみ軍隊を組織することができる。いずれの場合も軍隊は文民権力に従属し、個別的であれ集団的であれ、いかなる示威行為も(戦争の)宣言も行うことはできない」(寿里順平訳)

・著者のアイリス元大統領のインタビューの一部抜粋

「平和主義は、平和を理想とする人びとが増えるかどうかにかかわっているのです。それには、若い新しい世代を納得させられる教育が必要ですよ。人間にとって、最悪の投資は武器の購入であって、武器は使われなくても、持つだけで人間が人間でなくなっていくのです。その国を荒廃させてしまいます。1991年の湾岸戦争が、人類始まって以来の環境破壊をもたらしたことを、けっして忘れてはいけません」

・軍事費をなくし、国家予算の30%を教育費にあてるコスタリカ。勿論まだ問題は山積しているが、学ぶべきところは多い。