2023年2月9日1版1刷
帯封「日本の将来を考え続けた経営者が、その生涯を『私の履歴書』(日本経済新聞連載)で振り返る 日本社会の危機脱却のヒントがここに」「国鉄の分割民営化や東海新幹線の再生を成し遂げ、安全保障・外交分野でも活躍し、2022年5月に逝去した著者。安倍晋三元総理の“盟友”としても知られるその生涯を『私の履歴書』(日本経済新聞朝刊連載)や、杉田和博氏(元内閣官房副長官)、櫻井よしこ氏(ジャーナリスト)、屋山太郎氏(政治評論家)、松井孝典氏(千葉工業大学学長)による追悼文、また著者の発言を掲載したコラムとともに振り返る。『危機に対処するリーダーに求められるものは何か』について、多くの示唆を与える一冊。」
目次
Ⅰ 私の履歴書
国鉄民営化に人生賭す
父に俳句や和歌教わる
空襲激化で先祖の地へ
「小学生全集」夢中で読む
畳に正座、父と論語勉強
安保闘争 学内で討論会
父と二人 最後の読書会
十河総裁の言葉「有法子」
安住した雰囲気を危惧
一目ぼれ 留学前に結婚
早晩行き詰まると実感
動労、「病気」で集団欠勤
働かぬ分は賃金カット
本社も「やり過ぎ」に困惑
「第二臨調担当」が天祐に
瀬島氏と密会、意義力説
5年以内の民営化提言
反対派が圧力、干される
総裁が辞表、経営陣更迭
10万人削減、期限は1年
再雇用、主導権握り達成
民営化前日まで激務
コラム 千思万考
Ⅱ あすへの話題
機械親和性
二十一世紀のランドマーク
刃渡り5センチの小刀
勝利者の物語
空白の詩集
会議の効用
ギザのラクダ引き
淡きこと水の如し
鉦叩き
潜水班長の遺書
明治時代人の英語力
生き切る
旅のだいご味
メダルの数
木屑の生け垣
もみじ狩り
ポピーデー
さすらい人
決断の国民性
歴史の真実
忘れ得ぬひと
黄河の水
コラム 千思万考
Ⅲ 追悼文
かけがえのない友、葛西さんを偲んで 杉田和博
コラム 千思万考
葛西さんを悼む 屋山太郎
知性に富んだ国士だった葛西さん 松井孝典
コラム 千思万考
・国鉄の分割民営化は今からすれば当たり前のように思うが、当時は文字通り荊の道。当時の経営陣は反対し、主要労組も反対する中で、大義を貫き知恵を絞りどうやって分割民営化を実現していくか。臨調や当時の政治家を上手に利用し、経営陣を対陣させ、労組との戦いに真剣に取り組んだからこそ実現できた。
・時々コラムの読み応えがある。鉄道民営化と道路民営化を同じ目線で考えてはいけないというのには思わず唸った。レールの上を走る列車も鉄道は保有していて効率化を図ることが可能だが、道路は個人の車が走っており同じように効率化を図るのは難しいとか、民営化は競争原理が働いて活性化するという簡単なものではない、民営化して良かったこととは政事介入を防ぐことができたことにあるという。なるほど。
・大変な勉強家である。大学在学中、夕食の後毎晩4時間ずつ本を読んだ。正月も続けたとのこと。