2004年5月20日発行
美しい女性が屋敷の前で駕籠から降りた。すると複数の刺客が女性を襲った。そこをきらら主水が現れて女性を救った。女性は由香といい、父は恐らく殺されていた。由香を家まで送り届けようとした主水は、由香に代わって部屋の中にあるだろう父の遺書を取りに行く。部屋には先に男がいた。笛ふき天狗と名乗り、主水と対決するが、勝負はつかなかった（花の宵）。
芸者稼業に嫌気がさして足を洗った小えんと料亭を転々とする渡り職人の伊太吉は数年前から親しい友だちづきあいをしていた。小えんが主水に一目ぼれした。二人は相馬という印籠を持つ武士が今わの際に「ゆか」、「松倉」と言って息絶えた場に出くわした。伊太吉は相馬の家を訪ねて、ゆかに用事があると申し出ると、2人の武士にみねうちを食らわされた。気がつくと由香が目の前に現れた。屋形船に仏になった父親が乗せてあるのでそこまで行くと、仏がいなくなっていた（迷い舟）。
大納言一橋治済が川越藩主松平千太郎を訪ねてきた。千太郎は由香宛の父親の遺書を手渡した（気まぐれな大名）。
主水が入った店に、伊太吉と由香が現れた。主水が外に出て屋敷に入ると由香とそっくりの姫と出会った。前将軍の娘の甲姫だった。主水は松倉町の相馬家に向かった。小えんが頭巾をかぶった男のてごめにされそうになった時、床下の男が小えんを救った。小えんを救ったのは笛ふき天狗だった。そこに主水が現れた（夜風唄）。
黒柳新兵衛が一橋治済家を訪ねた。新兵衛は主水の暗殺を命じられた。由香は主水の荒れ屋敷を一人で訪ねようとしていた。途中で由香を守るためにあごの長い男が用心棒として現れた。主水の前で由香は本当は相馬修之進の娘ではないと言う。主水は甲姫と由香が双子ではないかと告げた。そこに新兵衛が登場する。互角の勝負だったが、新兵衛が由香の顔を見て一瞬の隙が出来る。動揺した新兵衛が勝負を後日にと申し出た（刺客往来）。
松平千太郎は芝居見物と見せかけて密書を受け取っていた。笛ふき天狗が天井から現れて消えた（芝居茶屋）。
由香の前に笛ふき天狗が現れた。由香の本名は夕姫だという。双子は存在してはならぬ定めだったが、甲姫が白痴であることが分かり、親王との婚儀が決まったために、嫁入り前にすり替えることがたくまれ、そのため由香の父が殺されたことが明かされた。同じ頃、主水は甲姫の屋敷に入り込んだ。甲姫の母と思しき女性と、甲姫が双子ではないか？瓜二つの娘を匿っていると告げた。母と思しき女性は甲姫を主水に託した（夜の人々）。
