語録 人間の権利 日本ユネスコ協会連盟 『語録 人間の権利』翻訳刊行委員会

昭和45年11月28日 第1刷発行

 

名だたる方々が委員・担当に名を連ねておられます。

 

『語録 人間の権利』翻訳刊行委員会委員および担当

委員長 桑原 武夫(京都大学名誉教授) 《権力》および総監修

委員  青山 道夫(東京経済大学教授) 《市民的自由》

委員  有永 弘人(東北大学教授)   《力に抗する法》

委員  小野 忍 (和光大学教授)    中国関係全般

委員  岡田完二郎(日ユ協連名誉会長)  総括

委員  大橋健三郎(東京大学教授)   《服従と暴力》

委員  数納 清 (日ユ協連会長)   《実践における自由》

委員  佐々木徹郎(東北大学教授)   《真理と自由》

委員  高橋 正雄(九州大学名誉教授) 《社会的諸権利》

委員  土居 光知(東北大学名誉教授) 《教育・科学・文化》

委員  永野 為武(東北大学教授)   《原因と結果》

委員  野上 素一(京都大学教授)   《民族の個性と独立》

委員  福田陸太郎東京教育大学教授) 《普遍性》

委員  藤田 たき(津田塾大学学長)  《人間》

委員  横田喜三郎東京大学名誉教授) 《権力の限界》

 

目次は次のような構成になっています。

まえがき

序文

はしがき

人間

権力

権力の制限

市民的自由

真理と自由

社会的諸権利

実践における自由

教育・科学・文化

服従と暴力

力に抗する法

民族の個性と独立

普遍性

原因と結果

文献目録

 

大変ぶ厚い書物なので、この本に取り上げられた語録のうち、日本人の語録だけ紹介したいと思います。大変、勉強になります。量が多いので、2回か3回に分けたいと思います。

 

我神化陰陽和合と祝ぐは、男女一雙にして高下尊卑なし。然るに女は男の奴のごとく何事も男にしたがふ筈と思ふは、志那の礼格に迷ひて我国の道をうしないたるなり。

(一一八)増穂残口(一六五五―一七四二)『神路の手引草』日本

 

 婦人を遇するの道は、観劇の快を供するにあらず、錦綉玉帯を給するにあらず、婢をしてこれに侍せしめて高貴の風をよそおわしむるにあらず。婦人を遇するの道は、男子みづから身をきよくして彼女の貞節にむくゆるにあり、費を節し家をととのえて彼女の心労をはぶくにあり、夫にこの心あらば、妻は喜んで貧をしのぶをうべし。彼とともに義のために迫害に堪うるをうべし。婦人を遇するの道は、その高貴なる品性をはげますにあり、その賤劣なる虚栄心に訴うるにあらず。

(一一九)内村鑑三(一八六一―一九三〇)『独立短言』日本

 

瓜食めば 子ども思ほゆ 栗食めば ましてしぬばゆ いづくより 来りしものぞ まなかひに もとな掛かりて 安いしなさぬ

反歌

銀も金も玉も何せむにまされる宝子にしかめやも

(一二五)山上憶良万葉集』(八〇二―八〇三)日本

 

人は貴賤にかぎらず、ことごとく天の霊なり。貧窮の人といえども一人飢ゆるときは直に天の霊を絶つにおなじ……民ことごとく死するときは君ありてなにかせん。民のための君なり。

(二一二)石田梅岩(一六八五―一七四四)『都鄙問答』日本

 

もし臣下一人にても飢えているならば

 

政治ノ運動ガ頗ル其ノ常道ヲ失シ、圧制暴濫ニシテ人民ノ権利自由ヲ犠牲トスルガ如キ場合ニ於テ、能ク之ヲ匡正シテ正義公道ノ軌轍ニ遵由セシムルモノハ、実ニ法律ノ任務ナリ。彼ノ有名ナル英国大憲章制定ノ如キ、仏国革命ノ時ノ人権宣言ノ如キ、其ノ適例ナリ。高ク日本人民ノ上ニ懸リテ其ノ網紀トナリ儀表トナリ長ク其ノ亡滅堕落ヲ防止スルハ即チ法律ノ力ナリ。

(二五二)岡村司(一八六六―一九二二)『法学通論』日本

 

王地に生たれば、身をば随へられたてまつるやうなりとも、心をば随へたてまつるべからず。

(二六〇)日蓮『撰時鈔』(一二七五)