怪談 牡丹灯籠 金原瑞人

2014年1月31日 第1刷発行

 

幕末から明治にかけて活躍した三遊亭円朝の怪談話で最も有名な作品。長い話のため、15日かけて最後まで語ったとか。大評判となり速記で出版するとベストセラーに。

 

第1話 飯島平太郎の黒川孝蔵殺し

第2話 萩原新三郎とお露の出会い

    平太郎は結婚し、娘のお露が生まれる。新三郎は友と梅見に行き、お露の美しさに見とれる。

第3話 孝助登場

    黒川孝蔵の息子が父の仇を討つために剣術を習いたくて流れ流れて平太郎の屋敷で勤めることになる。

第4話 新三郎、お露に会う

    お露に恋心を抱いた新三郎は、お露に会いたくてお露がいる別荘を見るため、川に釣りに出掛ける。酒も入り、お露の部屋に押し駆ける。そこへ父・平太郎が現れ、ふしだらな娘と思い、娘を一刀両断に斬りつける。と、酒に酔って寝てしまい、夢を見たようだ。

第5話 お国と源次郎

    お国は平太郎をたぶらかし、隣の源次郎とも関係を持つ。その源次郎に平太郎を殺せと。下足番の孝助がそれを聞いてしまう。お国と源次郎は孝助をはたきで打ちつける。悔しさ一杯の孝助は二人を殺し自害する決意をする。

第6話 新三郎とお露の再会

    新三郎の下に友が再び訪れるも、お露は死んだと聞かされる。そこへお露が現れ、逆に友から新三郎が死んだと聞かされたと。毎晩お露が現れる。ある時伴蔵が新三郎の家から女の声が聞こえるので見に行くと女の正体は幽霊だった。

第7話 孝助の縁組み

    孝助の忠義の姿に相川新御兵衛の娘の徳が思いつめて恋煩いとなり、父相川が平太郎に婿に取りたいと相談する。平太郎は安請け合いするが、孝助は平太郎の下を離れたくない余り拒否するも、説得されてしぶしぶ承諾する。しかしお国と源次郎の企みを知った孝助は二人を殺し自害するつもりで承諾したのだった。

第8話 白翁堂勇斎の見立て

    伴蔵が白翁堂に新三郎に幽霊が取りついている話をすると、白翁堂は早速新三郎の相を見に行く。やはり死相が出ている。新幡随院の助力(お札とお守り)を得て幽霊を家に入れないことに成功する。

第9話 孝助の災難

     孝助は平太郎と相川家に出向く。お国は平太郎に帰りは孝助だけ先に帰してくれと頼み、孝助は相川家の用事(結納)を済ませると先に帰る。途中でお国と源次郎が用意した刺客が孝助を待っていたが、孝助は別の帰り道で帰宅する。お国は再度孝助を刺客が待っている場所を通って平太郎の元に向かうよう指示する。刺客が孝助を襲う所で平太郎も孝助と出くわすが、孝助は一人で刺客を打倒す。

第10話 伴蔵とおみね

    お露の幽霊は伴蔵にお札とお守りを外してくれと頼む。伴蔵の女房おみねは百両を持ってきたら外すと交渉したらいいと助言し、伴蔵はその通り実行する。

第11話 孝助の覚悟

     平太郎が再び殿の泊まり番に出掛けた日、泥棒が入り、殿の手文庫がねじ切られ、百両が入っていた胴巻きが空っぽにされた。それをお国は孝助の部屋に忍び込み、手文庫に空の胴巻きを入れて細工する。平太郎が戻ると孝助が犯人にされ、夕方手打ちにされることになる。

第12話 伴蔵とおみね

     伴蔵は新三郎に湯の行水をさせてあげ、その隙に新三郎の如来像と陶器の不動像とを入れ替える。幽霊から百両を受け取り、新三郎が家に貼ったお札をはがすと、幽霊は新三郎の家の中に入る。

第13話 平左衛門の真意

     平太郎は百両を置き忘れたのを思い出した、許せと孝助にいう。孝助は明日予定されている釣りに行く際に自分も連れて行ってほしいと頼むが断られる。このため孝助は独り言で「今晩やってしまいましょう」といい、槍を研ぐ。深夜、孝助は源次郎の腹を突き刺す。が、なんと平太郎だった。平太郎は孝助が源次郎を刺すと考え、自分が身代わりに。何となれば黒川孝蔵の仇を討ちたいと聞いた時から主人殺しにならぬよう方法を考えたと告げる。平太郎から受け取った手紙を持って孝助は新五兵衛の家に駆けこむ。

第14話 新三郎の運命

     伴蔵、おみね、白翁堂勇斎が新太郎の家の中をのぞき込むと。。

第15話 孝助の旅支度

 孝助は相川新五兵衛から旅立つ前に娘と今すぐ祝言を上げてくれと頼み、50両と吉光の脇差を受け取り、婚礼が執り行われるとその翌日旅立つ。

第16話 伴蔵とおみねの逃走

     白翁堂勇斎は新三郎の上に骨がのぞいている死体が覆いかぶさっている不気味さにのけぞりつつ、新三郎が満足そうな表情を浮かべているのに首をかしげる。勇斎が新幡随院を訪れると何も言う前から新幡随院は全て見通していた。伴蔵は土に埋めた如来像を掘り出しおみねと逃げ出す。

第17話 伴蔵とおみねのいきついた先

     伴蔵のおみねが開いた店は繁盛したが、伴蔵は笹屋の女に手を出し、おみねを殺害。死んだおみねが伴蔵の裾を握って離さないので指を一本一本切り落とす。如来像を掘り起こして女と一緒に逃げようと思った矢先、女は源次郎と一緒に伴蔵を突き刺して殺害する。

第18話 孝助の足取り

     1年ぶりに孝助は戻って平太郎の1周忌の供養を新幡随院の良石和尚に頼む。新五兵衛の家に向かうとお徳が赤ん坊(孝太郎)を孝助に見せる。1周忌を済ませると白翁堂勇齊に見てもらえと言われる。

第19話 孝助、再会をはたす

     勇齊の下に出掛けた孝助はそこで母おりえと再会。

第20話 おりえの話

     孝助は、おりえから、再婚相手の長男五郎三郎が父の店を継いで立派にやってくれているが、そこに五郎三郎の妹のお国と源次郎がやってきてしばらく置いてくれと言われて、宇都宮の店にいると聞かされる。孝助から、主君の仇討に力を貸してくれと言われたおりえは、にっこり微笑む。

最後に

  孝助は織江の手引きでお国と源次郎を討ち、平太郎の仇を討ったことをお上に届けたおとり潰しになっていた飯島家は再興し、平太郎の遺言どおり孝助の息子孝太郎が後継ぎとなり、孝助が後見となった。如来像は新幡随院に無事戻り、孝助はお露と新三郎のために仏像を作らせて新幡随院に寄進した。

 良石和尚は「秋草や夢も現も箱のうち」と書いた。