2040 2040年の未来予測 成毛眞

2021年1月12日第1版第1刷発行 2021年3月4日第1版第7刷発行

 

帯封「知っている人だけが悲劇を避けられる あなたの20年後に関係があることを全部出しました! 年金/社会保険/医療費/ベーシックインカム/資産形成/MMT/5G/空飛ぶクルマ/監視カメラ/ゲノム編集技術/核融合/温暖化/南海トラフ/首都直下型地震」「考えられる人の未来は明るい chapter#01 テクノロジーの進歩だけが未来を明るくする chapter#02 あなたの不幸に直結する未来の経済―年金、税金、医療費

 chapter#03 衣・食・住を考えながら、未来を予測する力をつける chapter#04 天災は必ず起こる」

 

表紙裏「『今日』には、これから起こることの萌芽がある。現在を見つめれば、未来の形をつかむことは誰にでもできる」

 

未来型社会がどうなっていくのかを予測する上で、知らない知識を最低限アッという間に補充できる最適のテキスト。たいへん読み易くアッという間に読み終えることが可能です。

以下、私にとって有益だった情報をアトランダムに書き出してみると、

RFID(Radio FrequencyDentifier)とは電波でチップを瞬時に自動認識する技術。世界のRFIDの使用量は2019年度で約160億枚と推計される。普及していない理由はコスト。現時点でRFIDは一枚10円程度かかる。量産が進めば一枚1年程度まで下げられるという研究もある。最小のものは指紋の溝に収まる程小さいからいずれどこにでも存在するチップになるだろうと著者は予測する。

・レーザーの反射で距離を測定する「LiDAR(ライダー)」はミリ波レーダーに比べて小さな物体も検知できるのが特徴であるため現在はコスト高だが何れ汎用性が高くなると著者は予測する。

・医療技術はAIのおかげで格段に進歩し、医者も二極化すると予測されている(奥真也著、講談社現代新書『未来の医療年表 10年後の病気と健康のこと』)。奥氏は「近未来の医師は、大きくは『医療を作り出す人』と『患者に寄り添う人』という二つの役割に分かれていくはず」と指摘する。

・現在、核融合炉は世界の主要国が参加するプロジェクトがフランスで進んでいる。欧日が中心。これが国際熱核融合実験炉「ITER(イーター)」計画。2020年に組み立て作業が始まり2025年の実験開始を目指す。

・なぜ日本では保険料の徴収漏れが多いのか。税金は国税庁社会保険料日本年金機構がそれぞれ別に徴収しているからだ。旧共産圏でもこれらの二つの機能は「歳入庁」として一本化されているのは常識。日本でも歳入庁構想が浮かんだことはあるが、これが実現すると内閣府の管轄になる可能性が高く財務省既得権益を失うことになるため実現していないとの指摘もある。

・財政の健全度を示すといわれる政府の債務残高(GDP比)は、2018年時点で237%、IMFの調査国188か国・地域中、日本は188位(最下位)。187位がギリシャ、186位がベネズエラ、185位がスーダン、184位がレバノン。1位はマカオ(0%)、2位は香港(0.05%)。

・民間の保険には入らない方がいい。日本では国民健康保険や組合健保などの公的保険制度が大変充実しているから。

・これからの時代は政治が株価を決めるから、資産形成したいなら株式のインデックスファンド(日経平均株価やダウ平均株価などの株式指標に連動するように運用している投資信託)一択。

・学校の授業でパソコンなどを活用する割合は日本はOECD加盟36カ国で最下位。

アメリカの2019年度の私立大学の平均授業料は年約3万6900ドル。日本の私大の平均授業料は年90万円程度なので、4倍以上。

OECD加盟36カ国の大学進学率の平均は58%、日本は49%にとどまり、下から11番目(23位)。

・洪水ハザードマップ内で水防法に基づいて市町村が避難の際に配慮が必要としている施設(病院や高齢者、障がい者施設)は全国に7万7964か所あり、そのうち、特別養護老人ホームなど社会福祉施設が6万1754か所もある。

・首都直下型の場合、避難者数は720万人に達すると想定されており、20年間の経済損失は778兆円、南海トラフで1410兆円になると推定している。

 

最後に、幸せになるためには環境に適応しなければならない、生き残るのは優秀な人ではなく、環境に適応した人であることは歴史が証明している、環境に適応するには環境を知ることが不可欠、最悪の事態を想定しながら未来を描いておけば、右往左往することなく、そのシミュレーションが出来れいれば何も知らずにいたときの景色とは違ってくるはず、と締めくくっている。