2020年5月30日第1刷発行
SDGsの存在意義は、”ムーンショット”にあります。ムーンショットとは、「壮大な課題解決への飛躍」を意味する言葉です。「できる」「できない」ということが判断材料になっていなく、「やりたい」「実現させたい」という未来の時点から逆算して創案される、斬新で壮大な課題解決です。達成するのはとても難しくても、実現すれば社会に大きなインパクトをもたらすテーマに挑む際に用いられます。
1962年の9月、ケネディはテキサス州ヒューストン市のライス大学に招かれ、ライス・スタジアムで講演を行いました。若い学生たちを前に、次のように述べました。
We choose to go to the Moon…
ソ連とかライバルは関係なく、アメリカが人類で、最初に月へ行くのだ!という、世界のリーダーである合衆国大統領の強い意思に満ちていました。講演の冒頭の「」の一節が、ムーンショットの語源となりました。ケネディの主張は、アメリカの当時の科学力では無謀でした。人工衛星の打ち上げから、やっと有人宇宙飛行を成功させたばかり。宇宙開発の歴史は4年にも満たなかったのです。10年以内に月へ人を送るなんて、とうてい不可能だとされていました。それでも、ケネディの発したムーンショットが、未来を撃ち抜いたのは、たしかでした。彼の言葉に感銘を受けた若いエンジニアや政治家、投資家たちが意気盛んとなり、アメリカの宇宙開発のスピードは、加速しました。そしてケネディのライス大学での講演からわずか8年後、1969年の7月、アメリカはアポロ11号を打ち上げ、人類初の月面着陸ミッションを成功させたのです。
「できる・できない」の軸で物事を考えていたら、世のなかを変えることはできません。なぜなら世界は、あなたが想像しているよりも、はるかに大きいのですから。「できる・できない」の軸で変えられるのは、ほんの目先の成果だけ。世のなかを変えていくには、「やりたい・やりたくない」の軸を用いることが必要です。
インドネシアという国があります。総人口が2億6000万人以上、世界の4位です。・・国連の推計によると国民年齢の中央値は29.7歳です。日本の国民年齢の中央値は48.4歳くらいですから、人口が倍であり、かつ20歳ほど若返るのがインドネシアです。
日本からより遠いところに、インドがあります。人口数が約13億人で世界第2位のインドの国民年齢の中央値は、28.4歳です。インドネシアの5倍の人口で、さらに若返る。そして、日本から見るとはるか遠くのアフリカ大陸。全部で54か国あるアフリカ大陸は現在、13億人ぐらいの人々が暮らしています。インドや中国に匹敵するような人数です。そのアフリカ大陸の人口は、2050年には25億人以上になると国連は推計しています。これから30年で、なんと倍増です。そのアフリカ大陸の年齢中央値は19.7歳、6~7割が25歳以下といわれています。めちゃくちゃ若い国です。世界全体で見れば、現在の人口の中央値は30.9歳です。日本国内ではミレニアル世代はマイノリティの存在ですが、世界的には圧倒的なマジョリティの世代なのです。この事実を、多くの若者たちに共有してほしいと思います。
以上のような観点から、著者は日本でも若者とともに新しいお金と人の流れを育むエコシステムをつくるために、スケール感のあるインパクトファンドを蘇生して、世界における日本のプレゼンスを高めたい、と考えていることを紹介して終えている。
投資には私は興味がないが、貧困といわれている地域に必要な仕事が増やせるようお金と人の流れを作り出せる方法を実現する一つの夢を追いかけていて共感が持てた。