日中友好侵略史 門田隆将

2022年9月5日第1刷発行

 

帯封「『安倍晋三』が闘った日本の現実 『自民党8割が親中派』の日本への教訓」

「ランの花、有名女流作家、創価学会、日本の権力闘争、贖罪意識、巨大市場…あらゆるルート、あらゆる手法を用いた『友好』という名の『侵略』を明らかにする。始まった『対日工作』/自民党工作のスタート/公明・創価学会への中国工作/権力抗争はこうして始まった/世界の流れが変わった/もう一人のキーマン/『中国』巡って政界大動乱/日華断交は可能なのか/『椎名特使』をめぐる攻防/台北の怒りと混乱/“丸裸”だった日本/始まった『日中友好絶対主義』/世界を驚愕させた人権弾圧/変貌する中国/ハニートラップの凄まじさ/『破壊者』登場の悲劇/不可避だった“米中激突”/『友好』に躍った五十年」

 

不信渦巻く社会を構築するのか、それとも信頼関係に結ばれた社会を構築するのか。勿論国際社会の中では水面下はもちろん表面上でも様々な利害が衝突することはたくさんある。その時に一つ一つをどのように分析し判断していくのか。基本軸を不信に置くのか、それとも信頼に置くのか。それぞれの立場があるとは思う。この本は中国との関係では信頼に基礎を置くのではなく警戒せよと強く訴え掛けている。確かに習近平体制になってそのように感じる日本人が増えてきているのは事実だ。そのような警戒感を持つこと自体は必要なことだと思う。しかし底流に流れているものが不信なのか信頼なのか。そこに対する視座を間違えると大変なことになってしまうと思う。2000年以上もの長きに渡る両国の歴史をよくよく考えてから、現事象を捉える必要があると思う。それを捨象して、ここ数十年の歴史に焦点を当てて、不安をあおる、不信感を植え付ける、という手法には賛成できない。ネット上では、本書が日中友好という綺麗事の影に隠れて、その実は中国のしたたかな戦略に日本が完全にやられてしまったという真実を暴き出した本であるとして評価する向きもあるが、その評価は正しいのだろうか。穿った見方をすればそのような見方をすることもできるという姿勢で本書を冷静に批判的に読むという読者がいてもいいと思う。