オネーギン プーシキン 池田健太郎訳

1962年5月16日第1刷発行 2000年1月14日第36刷

 

表紙「決闘で親友を殺したオネーギンは、相変らず勤めも妻もない日々をもて余していた。そんな或る日、夜会で人々の注目を集めている貴婦人を見かける。彼女こそかつての田舎娘タチヤーナだった。悔恨が彼の胸を絞めつける。主人公たちの喰い違う恋を追う筋書きの間にプーシキン(1799⁻1833)自身の文明批判や諷刺を盛り込み、19世紀初頭のロシアを描いた彼の代表作。」

 

巻末の解説によると、韻文小説『エヴゲーニイ・オネーギン』は、バイロン的な主人公オネーギンとロシアの美徳の象徴である、素朴で、真摯で、誠実なタチヤーナとの食い違った恋を追う単純な筋立ての他に、作者プーシキンの伝記の出来事や、感慨、文明批評などを歌う抒情的な章句の随所に入り混じった一種混然たる作品である。

 

地主の娘タチヤーナはオネーギンを熱烈に愛する。手紙の内容は読む者をしてぐいぐい引き込むものだが、彼は自分では幸せにできない、兄のような愛で愛すると応えて拒絶する。ある日タチヤーナは恐ろしい夢を見る。雪の中をクマに担がれて化け物屋敷に運ばれる。そこにオネーギンがいた。ラーリン家の宴会に呼ばれたオネーギンだったが、タチヤーナではなく、妹のオリガを舞踏の相手に遊ぶ。タチヤーナは死にたくなる。オリガの婚約者でオネーギンの友人レンスキイから決闘を申し込まれる。申し込んだ直後にレンスキイはオリガが今でも自分を愛していることを知る。決闘はオネーギンの一撃で勝負が決まる。オリガは槍騎兵と結婚する。時が経ちモスクワで公爵夫人となっていたタチヤーナと再会する。今度は彼が夢中になって熱烈な手紙を書き送る。が、タチヤーナが今度は彼を嗜める。一人の大人の女性として。

 

フランス語でなく、ロシア語で韻を踏んだ素晴らしい文体で、素晴らしい小説だからこそ、ロシアの最高傑作と言われているんだろうなあと想像する。しかし、ロシア語は全く不勉強で分からない。日本語でその雰囲気が少しでも理解できたらとも思う。オペラになっている作品でもあるので、オペラに馴染みの全くない私が最初にオペラに接するとすれば、この作品は手ごろなのかもしれない。