わかりやすさの罠 池上流「知る力」の鍛え方 池上彰

2019年2月20日第1刷発行

 

帯封「騙されてはいけない! 日本で最も『わかりやすい』解説者が警鐘を鳴らす」「・そのニュース、本当にわかっていますか? ・ニュースにも『台本』がある ・テレビに出る『専門家』はどう選ばれるか ・テレビはタブーを破れない ・池上流『情報の時間割』 ・出張のスケジュールに書店を入れてみる ・目当ての新書の探し方 etc.」

 

表紙裏「コピペやフェイク紛いの『エセ情報』が、インターネットやSNS、さらには新聞や日常会話にまで溢れている。安易な『わかりやすさ』を売りにするバラエティ番組は、事態をさらに悪化させている。私たちは、どうすればホンモノの『情報』や『知識』を得られるのか? ニュースの世界における『わかりやすさ』の開拓者が、行き過ぎた〝要約〟や、出所不明の〝まとめ〟に警鐘を鳴らし、真の情報探索術を伝授する。日本で最も『わかりやすい』解説者がその罠について論じた、池上流・情報処理術の決定版!」

 

目次

序章 「わかりやすさ」への疑問

第一章 その「わかりやすさ」、大丈夫ですか?

第二章 ネットの「真実」の向こう側

第三章 「知る力」を鍛える

第四章 「わかりやすさ」のその先へ

 

・演説で小泉氏は「皆さん、郵便局を民営化すると、国家公務員が40万人減るんですよ」と、よく言っていました。確かに、「国家公務員が40万人減る」ということ自体は間違いではありません。問題は、実は郵便局は独立採算制であり、職員に公務員給与は払われていない、つまり郵政民営化しても税金が新たに節約できるわけではない、という点です。・・嘘は言っていないけれど、意図的に国民を誤解させていたのですね。

・「カンペ」とは「カンニングペーパー」のこと。

・フリップを読みながら、「で、これが」とペロッ、「こうなって、その結果」とペロッと土次にめくっていけば、それで番組がちゃんと進行していくというやり方・・実はこれが、台本そのものなのです。この「台本」は元々、みのもんたさん用に開発されたものでした(忙しいみのもんたさんには台本を事前に読んでいる時間がないために考案されたやり方だった)これがいつしか今やニュース解決に欠かせない小道具になっている)。

・安倍政権は第一次内閣発足時から、ニュース番組はすべて録画してチェックし、「ここが間違っている」「あの批判はいかがなものか」といちいち抗議してきます。ただでさえ忙しいテレビ局のスタッフは、その対応をするだけで疲弊してしまいます。萎縮というよりも、「物量作戦」に音を上げて、「面倒を起すようなものはやめよう」となる傾向が強まっています。

・誤字脱字は、校閲の機能がちゃんと働いていないという証拠です。つまり単なる文字の誤りにとどまらず、内容自体にも間違いが含まれている可能性が高いと考えられます。たかが誤字脱字、ではありません。誤字脱字の多さは、情報を取り扱う上で最も重要な正確性をないがしろにしているということなのです。

・毎日最低4店の書店を回っていました。「ビジネス書なら東京・丸の内の丸善」「メディア関係なら内幸町のプレスセンターに入っているジュンク堂」と、探したい本のジャンルによっては、そこまで足を伸ばすことにしています。

・読書事情からその国の将来が見える→ベトナムホーチミンを訪れた際、店番が昼休みの間夢中になって本を読んでいた、書店に入ったら英語の参考書を万引きする現場に出くわした、ベトナムは発展するぞと確信した。反対にラオスは書店らしい書店がなく、古いペーパーバックを売る古書店しか見つからなかった。20年経ってベトナムラオスの経済発展の違いは一目瞭然。北京・上海に行ったときも学習参考書のコーナーに大勢の若者が群がっていた。ミャンマーでも大勢の人が必死に本を探していた。これに対して中東各国のアラブ人はおしゃべりに興じていた。

・末期がんの患者に痛み止めとして使用されるオピロイドは、ほんの少し増やしただけですぐに致死量に達してしまうという点がきちんと報じられていなかったために致死量を超えて死に至る人が続出した。実はアメリカではオピロイドを売った資金でヘロインを購入するなど、オピロイドの安易な処方がアメリカの貧困層麻薬中毒を蔓延させていた、そういうところまでアメリ外交問題評議会が出している「フォーリン・アフェアーズ・リポート」の記事には書いてあったが、そこまで知って、わかったぞ、ということになる。

・人から聞いた話でも、自分で目の前にいる人にはなせるかどうかで定着度が違ってくる。

 

ネット情報に懐疑的。新聞を大事にし、正確な情報を知る、集めるということがどういうことなのかということをわかりやすく解説してくれている新書です。私なりにひっかかりを得た情報を列記しました。