96歳。今日を喜ぶ。一人をたのしむ 吉沢久子

2014年4月8日第1刷発行 2014年4月16日第2刷発行

 

目次

1章 心を立ち上がらせる

2章 出あいを面白がる

3章 小さな工夫をたのしむ

4章 しっかり考える

5章 ていねいに見る

6章 くらしをいつくしむ

 

新潟日報の連載1年分、月刊『nico』の連載、『あじくりげ』に掲載されたものを再編集したエッセイ。96歳とは思えない若々しさがある。

若さの秘訣は、第1に、旺盛な食欲にありそう。知人から送られた蕗のとうを炒め、みそ、みりん、砂糖で味を調え練り上げる、とか、コゴミ(草ソテツ)をみそ汁やゴマあえにしたり、塩茹でして辛子マヨネーズであえる。使い残しのかんぴょうを見つけると、高野豆腐と一緒に煮付ける、貰ったプラムでジャム作り、梨が残っていれば梨のお粥を作り、それに桜エビとシラスの釜揚げをかける、室内畑のプランターで春菊の種をまき、サラダやみそ汁に使って香りを楽しむ、新玉ねぎのおいしい季節になれば、削りカツオと醤油、あるいはほうれん草と玉ねぎの辛子あえのちょっとした小料理等。第2に、日々の日常生活の中でちょっとした工夫をして食事や生活を楽しむところかな。江戸切子の小鉢を普段から使い、第3に、好奇心旺盛なところかな。朝刊の折り込み広告の中に、ボタン付け1個からでも出前サービス、フリーダイヤルで問い合わせとあると、料金によっては繁盛する商売になると目を付けたりしている。確かに高齢者にとっては有難いサービスだろう。表紙の著者本人の写真を見たら、恐らく誰も96歳だとは思わないだろうと思うが、そんな秘訣が満載だった。美しく年を取るというのはこういう方のことを言うのだと思った。