私の履歴書 平岩弓枝

2008年11月20日第1刷

 

私の履歴書

昭和7年3月15日生まれ。西川京の名前を頂いた昭和34年に直木賞を頂き、ものかきへの坂道を歩き始めた。戸川幸夫先生の弟子にしてもらい、第1作「女の法案」は9回書き直しを指示された。長谷川伸先生の新鷹会に参加させてもらい、作品の批評を受けた。「鏨師」を書いた後、長谷川先生から書庫を自由に利用してよいと言われ、人を観察するという事を学んだ。どのような目線で人を見ているのか、自分らしい目線は自分を鍛えなければ出来ないという人生の奥義に私は項垂れるばかりだった。直木賞受賞後10年して書いた作品が「女の顔」。恩師から10年後に直木賞に相応しいだけの作品を書く作家になることが直木賞を与えて下さった方々への責務だと言われ書いた作品だった。それだけの作品かどうか分からないが、これを書いたことで何とか会談を一つよじ登ったように感じている。反響の大きかった作品は「御宿かわせみ」と「西遊記」。

・時移りて

大衆文芸に連載したエッセイが16本掲載されている。