日本の統治下に置かれた時代の朝鮮の妓生養成学校に通うソユル (ハン・ヒョジュ)とヨニ(チョン・ウヒ)は無二の親友。ソユルの美貌と美声は群を抜く。ソユルの恋人で作曲家のユヌ(ユ・ヨンソク)はソユルに流行歌手イ・ナニョンを紹介する。ソユルは仕事があったのでヨニを呼び、自分は仕事に出掛けた。総督府の幹部平田清の前で正歌を歌うと、床が用意されていた。ソユルは歌以外に持ち合わせはないと言って帰るが、妓生は娼婦だと養成所の先生から教えられて強い衝撃を受ける。ユヌとナニョンはヨニの歌声を聴き、ユヌはその歌声に魅了され、妓生をやめて歌手になりレコードを出すように言う。ユヌがソユルに歌わせると言っていた“朝鮮の心”をヨニが歌うと聞いたソユルは飛び出して雨の中をユヌに会いに行く。ユヌは愛しているのはソユルだけで、これからもソユルのために歌を作るから思う存分歌えばいいと励ます。ヨニは妓生の世界から歌手に転身し、ユヌから歌のレッスンを受ける。差し入れを持参してユヌを時に心から応援するソユル。ヨニからコンサートの招待状を貰って参加したソユルは、終了後、ユヌから招待状を貰わなかったのでひどい人と言ってユヌにそねてみせた。コンサート終了後の二次会で花束を渡たす人がいるのを見て帰るときに花屋が目に止まったソユルは花束を持って引き返す。2階でユヌの声が聞こえるので2階に上がると、ユヌがヨニとキスしているのを見てしまう。ソユルは髪を切り妓生の先生に券番は自分が守るといい、平田のところに行って歌手になりたいと言い、平田に体を捧げる。発売予定だったヨニのレコードの販売は急遽禁じられた。ソユルは歌手に転身するが、声が流行曲に合わないと言われて涙を流す。苛立つユヌが日本兵に暴行を働き、刑務所に入ると、ソユルは面会に度々訪れ、ヨニばかりを想うユヌに結婚の誓いを忘れたのかと詰め寄り、自分のところに戻ってこいという。思うようにレコードが出せないユヌと連絡が取れなくなり、ヨニはユヌを心配してソユルを訪ねて、何とか歌を続けたいと頼むと、ソユルはヨニに歌う場を与えた。ところがいかがわしい場所で日本兵は強引にヨニの体を奪おうとした。咄嗟にヨニは日本兵の首にかんざし突き刺し殺してしまい妓生養成所に逃げ込む。警察がヨニを捕まえようと養成所に乗り込むが、ソユルは「私は平田清の女です。目的の女がここにいなければ今日の無礼を許さない」と脅す。それを聞いたヨニは全てを悟り、ソユルに平手打ちを食らわせ、ソユルの制止を振り切って養成所を出てしまう。がそこに警察が現れヨニを射殺する。ユヌは刑務所から出所すると、ソユルにユヌの居場所を聞く。がソユルはそれより歌を聴いてほしいと言って「あなたの愛は偽り」だと歌い、私のために曲を書くと約束した通り、曲を作って欲しいという。ユヌはヨニの幻を線路上に見てヨニを追い掛け、そこに電車がやって来て轢殺される。大韓独立、万歳と人々は叫ぶ中、総務局長の女と名指しされたソユルは身の危険を感じて逃げるようにその場を立ち去る。時は流れ、1991年、『朝鮮の心』のレコードが復元されてソユルはヨニとしてテレビ局で『朝鮮の心』を歌う。終了後、養成所のかつての先生がソユルではなくヨニとして誰が何と言おうと歌手を続けるよう励ます。テレビ局の人がソユルとヨニが親友であったこと、ユヌがソユルのために「愛と嘘」という曲を書き、手紙を書き残したことを伝える。そしてソユルの歌はヨニの物まねをしているだけだが、「愛と嘘」という歌だけは深い悲しみが感じられると述べる。40年前に時計の針は逆回りし、ソユルはユヌが書いた手紙と楽譜を涙ながらに見て、レコードから流れる美しい「愛と嘘」の曲を聴く。そこには養成所で無二の親友だったソユルとヨニの二人が楽しそうにしている姿が流れていた(エンディング)。
ハン・ヒョジョが映画の半年前から歌の練習をして映画の中でも自ら歌っているとのネット情報に接した。ヒョジュの歌声も素晴らしい。片言でも日本語を作品の中で何度か話すなど、本当に努力の人でもあるということが良くわかった。嫉妬で身を亡ぼすという、これまで清純派女優一筋で来たヒョジョの過去の役柄にはない新しい役作りにチャレンジする女優魂に拍手を送りたい。