サッド・ムービー 2006年 監督クォン・ジョングァン

消防署員イ・ジヌ(チョン・ウソン)と手話通訳者アン・スジョン(イム・スジョン)は結婚を意識している恋人同士。スジョンはジヌが火災に巻き込まれないかといつも気をもむ。スジョンと遊園地で白雪姫の着ぐるみを着るハン・スウン(シン・ミナ)とは仲良しの姉妹。スウンの誕生日祝いの席でスウンから好きな人がいると二人は聞かされ、遊園地で肖像画を描くおっちょこちょいのサンギュ(イ・ギウ)の写真を見せられる。でもスウンは白雪姫の姿でサンギュに近づくだけだった。チョン・ハソク(チャ・テヒョン)とスーパーのレジ店員チェ・スッキョンは付き合って3年経つが、ハソクの貧乏は変わらず、レジの仕事を続けるスッキョンは買い物の支払すら出来ないハソクに別れ話を切り出す。仕事で頭が一杯のヨム・ジュヨン(ヨム・ジョンア)は息子パク・フィチャン(ヨ・ジング)のことが後回しになり、フィチャンンは寂しい思いをしていた。乗車中に母ジュヨンが事故を起こして入院しても当初は母の顔を見ようともしなかった。スジョンはレストランでジヌと待ち合わせしていると火災報知器が鳴り、そこに消防士姿で現れたジヌが今日こそはプロボーズしてくれると思ったら別の男でガッカリする。母ジュヨンが入院して毎日病院で母に会えるようになったフィチャンは、次第に元気を取り戻し、毎日の日記にこのまま母が入院をし続けることを願っていると書いた。母ジュヨンは病を患っているのが見つかった。ハソクは顔を腫らしながらスパーリングの練習相手のアルバイトでお金を稼ぐようになるが、ある時、電話ボックスで話をしている女性から相手の男への別れ話の代行を頼まれる。世の中には別れ話があちこちにあることに気付き、ネット上で「別れさせ屋」を始めた。サンギュはスウンに素顔を描きたいと頼み、強引に着ぐるみを脱がそうとするが他の着ぐるみの男達にやっつけられる。フィチャンは家の中で偶然母の昔の日記を読んでしまう。父から押し倒されて妊娠すると堕そうと言われ、いい子に育てる決意をすると、今度は女の子がいいと書いてあるのを見つけ、その都度落ち込む。ハソクの別れさせ屋の仕事は順調に入ってきた。スッキョンにデートを申し込むが、スッキョンは私たちは終わったのとつれない。フィチャンは母の日記を読み続け、母が苦労して育ててくれたことを知る。火災が起き、サイレンが鳴るたびにスジョンは気が気でない。ある時大規模な火災事故が発生し、消防士1名が意識不明の重体となり、別の消防士が火傷したとのニュースを手話で流した後、病院に駆けつけたスジョンはジヌにもう耐えられないから仕事を辞めてくれと涙ながら訴えた。がそんな時にも緊急事態の連絡が入り、ジヌは消防士として出動しなければいけなかった。スジョンが部屋に引きこもると、妹のスウンが彼を助けてあげてと手話で伝える。スジョンは放っておいてというと、スウンは姉に、姉は愛している言えるけど私は違うと言う。それを聞いて二人は仲直りする。ジョヨンが癌なのをフィチャンは知る。ジョヨンはフィチャンの学校前の交差点で交通整理を始め、その姿を見てフィチャンは大喜びする。ハソクはスッキョンとデートし、互いに話があるという。スジョンがジヌを訪ねて高層ビルの前で消防士の救助活動する時に使う梯子で上がり口づけを交わす。スウンはサンギュが眠っている所に現れて白雪姫の着ぐるみを脱いで彼が描いた白雪姫の肖像を何枚か見る。目を覚ますと着ぐるみを着た白雪姫が隣で座っていた。同僚から勇気づけられ、サンギュの前で素顔を晒すことを決意したスウンは化粧する。落とした指輪を見つけたジヌはスジョンの職場に出向くが、指輪を渡しそびれる。スウンは化粧した顔をサンギュに見せ、想像以上に可愛いと言われ、喋れないことを告げた。ジヌが結婚指輪を準備してスジョンを待っていた時、火災が起き、ジヌは事故現場に駆け付けた。スジョンはテレビニュースの手話通訳中だったが、ジヌの死亡ニュースで知る。スウンは化粧を取り素顔の顔をもう一度書いて欲しいと頼む。来月留学するとサンギュから聞かされて、だから素顔を見せるのと心の中で呟く。着ぐるみの同僚たちが、スウンが彼を抱きしめると、園内のイルミネーションに明かりが灯る。スッキョンはハソクへの別れ話を別れさせ屋に依頼した。理由は新しい恋人が出来たとした。ハソクは雨の降る日に自分の姿が移るスッキョンが務めるスーパーの硝子扉に向かって別れ話を伝え、スーパーの入口に傘を置いて立ち去った。その傘を使って帰宅したスッキョンだったが、途中で傘の持主がハソクだと気付いた。ジュヨンの癌の痛みが激しくなるのを見たフィチャンは部屋で泣く父に、泣くとママに聞こえるから泣くなと注意し、一人で外に出て思い切り泣いた。フィチャンはハソクに別れさせ屋の最後の仕事を頼み、別れたくないと母に伝えてもらい、ママの瞳が輝く似顔絵を託した。ジュヨンは病室から交通整理の笛を精一杯吹いた。ジヌが亡くなった後、スジョンは遺品として結婚指輪と二人でキスしたシーンを撮影した写真を落涙して受け取った。事故現場の映像を見ると、ジヌは手話で「愛している」とスジョンに伝えていた。スジョンはプロポーズを望んだ理由を聞こえないスウンに語り掛けた。そうすることで火を恐れてくれると思ったからだと。でも今はそれを後悔しているとも(了)。