ザ・グローリー ~輝かしき復讐~ 2023年(全16話) 監督アン・ギルホ 脚本キム・ウンスク

ソン・ヘギョが演じるムン・ドンウンは高校時代、同級生の5人から壮絶ないじめに遭い、18年後に復讐を遂げる。5人とは美女で大企業の社長を夫に持ち自らは天気予報のキャスターを務めるヨンジン、大金持ちのジェジュン、牧師を父に持ち芸術家のサラ、アテンダントのヘジョン、ジェジュンに雇われているミョンオ。この5人を不当にも処罰から免れさせた担任や警察幹部を含めて18年にも及ぶ綿密な復讐計画を立てて実行していく。ドンウンは高校時代に建築家になる夢を持っていたが、いじめが原因で高校を中退する。が復讐のため、アルバイトと猛勉強で教育大学に合格し教員資格を手に入れる。ある日ドンウンがゴミ漁りする姿を財閥の家政婦カン・ヒョンナムに見つかるが、ヒョンナムは夫からDV被害に遭っており、夫を殺してくれと頼み、代わりにドンウンは5人の情報収集を頼んで2人は手を組く。ヨンジンの夫に近づくためにドンウンは医師のヨジョンから囲碁を教わり、またヨンジンの娘が通う私立高校のクラス担任となる。ドンウンはミョンオやヨンジンの娘イェソルに近づき、娘イェソルが色盲だと知ると、同じ色盲ジェジュンが父親だと気付く。ドンウンはミョンオを利用してドンウンを罠にかける。自分の前にいじめられて亡くなった同級生ユン・ソヒは自殺ではなく、ヨンジンに殺された、ソヒの死体はヨジョンの親が院長を務める病院の冷凍室に保管されていることを伝え、ミョンオはそれをネタにヨンジンを脅すが、ヨンジンはミョンオにウイスキーの瓶で頭を強く撃って気絶させてしまう。以来、ミョンオの行方が知れなくなる。ヨジョンから囲碁を習ったドンウンは彼の前から姿を消したが、再会する際に彼から告白される。しかし自分に必要なのは剣舞してくれる処刑人と言って断る。その後、ドンウンは凄惨な被害を受けたことや体中に残っている酷い火傷の跡をヨジョンに見せ、ヨジョンは復讐に協力する。彼は殺人鬼ヨンチョンに父を目の前で殺され心の闇を抱えていた。ジェジュンはイェソルが色盲だと気付くとわが子だと確信する。ドンウンへのいじめをもみ消した張本人が警察幹部のシンだと知ったドンウンはジェジュンとヘジョンの弱みを握ると、ドンウンを罠にかけるのに協力させた。ヨンジンの夫ドヨンは自分の妻の過去を調べ、筆舌に尽くし難いいじめの主犯だったことを知る。が人を殺したことがあるなどとは思いもしなかった。ヨンジンはドンウンの過去を調べ上げ現在の住所地を突き止めるが、自分の住む家の前にいることを知る。ドンウン宅に不法に侵入し、壁一面に自分たちの日常生活が撮影され写真に張り出されているのを目にした。ドンウンはヨンジンに一度だけチャンスを与えて自首すれば復讐を終わりにしようとしたが、ヨンジンは拒否し反撃に出る。ヨンジンはドンウンの母ミヒが、かつて娘がいじめに遭った際も娘より金を選び、今度も金に転ぶと睨み、ドンウンの学校で騒ぎを起こさせて娘を高校に居られなくさせようとする。ドンウンはヨンジンをヨジョンの整形外科病院に呼び出し、麻酔で眠りにつく直前にミョンオの名前を出し、ミョンオへの凶行を思い出させて混乱に陥らせた。ヒョンナムの娘ソナはドンウンの応援を得て、DV夫から逃れるため海外留学を果たす。ドンウンはDV夫にヨンジンの母ヨンエに脅迫するよう仕向け、脅迫の挙に出たDV夫をヨンジンの母ヨンエが車でひき殺させるのに成功する。ヨジョンはヨンジンの足の傷にミョンオ殺害の証拠が残っているかもしれないと、ヨンジンの細胞を密かに保管した。ヨンジンはミョンオの死体をシンに処理させたはずだったが、処理されずに真空状態で葬儀場に保管され続けており、ヨジョンはミョンオの死体が隠された葬儀場を買い取ってドンウンと一緒にヨンジンを追いつめる証拠を集めた。教会で薬中毒に陥るサラの動画がネットに流れ、ヨンジンのいじめを告発する匿名の手紙が流れるが、ヨンジンは若気の至りでいじめだけを認め、噂話となっていた殺人疑惑は否定した。その頃ドンウンはかつて同じくいじめの被害に遭い今もヨンジンの店で働くギョンランに接触し、ミョンオを殺したのはヨンジンでなくてはならないから、あなたは何もしないでと話す。ドンウンは母ミヒが生徒の保護者から金を巻き上げたために学校を去ることになり、ミヒの部屋に訪れるが、アル中だったミヒは部屋に火を放ち、それを隠し撮りしてミヒを精神病院に強制入院させることに成功。ミョンオの死体が発見されると、シンは次から次への跡始末を要求するヨンエに愛想をつかし単身海外逃亡を図ろうとするが、ヨンエに絡みつかれる。DV夫が死んだことでヒョンナムは嬉し涙を流す。ヨンジンが屋上からソヒを転落させる直前、ソヒのマフラーに火をつけた時に使ったライターが現場に残っており、転落したソヒが握りしめていたヨンジンの名札もソヒ殺害の重要な証拠だと考えていたヨンジンの母は、ドンウンからDV夫に脅されていたから殺したと暴かれたくなければ、ヨンエが持っている娘の名札を差し出せと脅し、それをヨンエから受け取る場にヨンジンを呼び寄せた。母が自らを売った現場をヨンジンは見せつけられる。娘のイェソルはネットで母ヨンジンが壮絶ないじめの加害者であることを知り、ヨンジンと離婚した夫に連れられて外国に向かう。ミョンオの葬式ではサラの薬物中毒に陥っている動画を流出させたのがヘジョンだと知ってサラはヘジョンの首を刺し逮捕される。警察はライターから出た痕跡とミョンオの痕跡がDNAで一致したためミョンオ殺害犯としてヨンジンを逮捕。ドンウンはヘジョンの復讐心を利用して緑内障を患っていたジェジュンの目薬を入れ替え、運転中目が見えなくなったジェジュンはトラックに追突され、血み泥で前が見えずに彷徨うジェジュンを何物かがセメントの中に突き落とす。ヨンジンだけでなくヨンエも殺人罪で逮捕され、シンも悪事を働く際に利用していた部下に裏切られて殺される。全ての復讐を終えたドンウンは、ヨジョンと海に出かけ、突然ヨジョンの前から姿を消した。ドンウンは刑務所に収監されたヨンジンの面会へ赴き、「真実を知らないまま、死ぬまで悔しがって」と告げ、ヨンジンは何のことだかわからずに絶叫する。ミョンオにとどめを刺したのは実はギョンランだった。半年後、ドンウンがヨジョンの前に姿を現し、今度は私が協力すると話して、ヨジョンの父を殺したヨンチョンの収監先で、ヨジョンは医師として、ドンウンはボランティアとして潜入した。お互いに「愛してる」とつぶやきなぎら刑務所の扉の中に入っていった。

 

アイロンで高校生の全身の至るところにやけどの跡をつけるという言語に絶するいじめの中で生き延び、18年という長い年月をかけて復讐を遂げようとする執念、緻密な作戦、揺るがない実行力、笑うと信念が貫けないと言って一切の笑いを捨てて、冷酷に着実に一歩ずつ復讐を果たしていくソン・ヘギョの凄みのある演技には一瞬たりとも目が離せない。