核大国ニッポン 堤未果

「核なき世界」というキーワードに、劣化ウラン弾は含まれていない。通常兵器と扱われている。しかし現地の人々もアメリカの帰還兵も皆被ばくしている。深刻な事態だ。
湾岸戦争では320トン、イラクでは2200トンの劣化ウラン弾が使用されている。
アメリカが処理できず持て余した核のゴミ(劣化ウランウラン238を大量に含む、電子力発電からの廃棄物)の蓄積量は50万トンもある(31p)。

湾岸戦争イラク戦争はこの核のゴミを有効利用するために起きたのではないか?との疑念が頭をもたげる。

増田尚弘(廃炉推進カンパニー最高責任者)は2016年5月24日、福島第一原発事故で溶けた600トンの核燃料(溶融炉心コリウム)が行方不明である事実を公表。しかし、溶けた核燃料を地底から取り出す技術を日本は持っていない(244P)。

核兵器禁止条約の採択(2017年7月7日)の話題が今年大きく取り上げられた。日本は不参加。その前年、日印原子力協定に署名。原発輸出政策は、民主党政権以後、現在の自民党も含めて加速している。ウエスティングハウス(WH)の名前は東芝とともに頻繁に新聞に登場するようになったが、原子力メーカーのWHは2万8000件の特許を持ち、推進させればさせるほど特許料がWHに入る仕組みになっている。東芝は54億ドルでWH社を買い取った後、巨額の負債を抱え込み、見るも無残な姿に転落。

米原子力協定が2018年にひっそりと延長されるだろうと筆者は述べる。この日米原子力協定の中で、日本は「使用済み核燃料をそのまま保管するのはNG、プルサーマル発電(プルトニウムが燃料)や高速増殖炉で消費し続けること」という条件がつけられている。このため、日本は、使用済み核燃料は六ケ所村再処理工場で処理され、プルトニウムは国内のプルサーマル発電で使用されていることを証明しなければならない(247p)。それゆえ、伊方原発玄海原発(いずれもプルサーマル発電)が再稼働の方向性に舵が切られている。高速増殖炉もんじゅ廃炉となった今、これしか方法がない。

これらのからくりをほとんどの日本人が知らない。世界中が注目しているのに。

という衝撃の内容です。かなり強引なまとめ方をしましたが、とても勉強になりますした。