100分de名著 走れメロス 太宰治 若松英輔

「主人公」は誰か
 もっとも大きな変化を経験したのはメロスではなく、「王」ではないでしょうか。

信じるちからがあればどこまでも歩き通せると思っていたメロスが、挫折のなかで発見したのは、「信頼されている」者の強さでした。 
不可視な人生の同伴者の存在を感じたとき、人は本当の意味の勇者になる、というのです。