牧口常三郎はカントを超えたか 宮田幸一

第Ⅰ部 真理と価値
    牧口真理論の研究
    『創価教育学体系』における善の概念
    価値命題の真理性
   *まとめること自体が難しい。新カント派思想の代表者である左右田喜一郎の思想のある面を受け継ぎつつ、左右田と牧口の根本的な考えの相違も明確であるとする論旨を手掛かりに、左右田の勉強から入るのが理解の一助になるような気がする。
    ちなみに「牧口は『カントの幸福観には明かに社会的要素が含まれてをらなかった』と批判し、幸福の内容に社会的要素を含めれば、幸福を求めることが利己主義につながるわけではないと主張する(全集第5か12p頁)。この主張も理解を助ける一助かもしれない。

第Ⅱ部 牧口常三郎の宗教論
    牧口常三郎の宗教研究法
    宗教の価値科学的研究の可能性とその意義
   *「科学と宗教との関係を論ず」においては「対象領域を自然現象と価値現象とに大別し、宗教は価値現象に関わるという立場をとっており、『体系』第2巻において示された仏法の対象領域は科学や道徳や哲学の全対象領域を含むということは述べられていない。ただここでは宗教が自然現象ををも対象とするということを否定しているわけではなく、そのことを論じていないだけである」

第Ⅲ部 宗教理解の諸問題
    内村鑑三日蓮論について
    パスカルキリスト教弁証論の構造と諸問題
    ヴィトゲンシュタイン『確実性について』の宗教観をめぐって

第Ⅰ部は難解。久しぶりに普段使っていない部分を使ったからか、知恵熱のようなものが出てきた。3,4時間して頭痛が収まったが、久しぶりに読書していて頭痛がしてしまった。こういう苦手分野とでもいうのか、色々な分野の本がスラスラと読めるようになりたいものだ。