100分de名著 燃えあがる緑の木 大江健三郎 小野正嗣

イェーツ アイルランドの詩人・劇作家。アイルランド文芸復興運動の中心的指導者でもある。1923年ノーベル文学賞受賞。大江はイェーツの「周縁性」の概念を取り入れ、地方に生まれた自分は周縁の視点から世界を見ると宣言し、ノーベル文学賞受賞記念講演では「イェーツのひそかな弟子」を名乗った。

 

キーワード  「一瞬よりはいくらか長く続く間」

ギー兄さんがそこでカジに語るのが「一瞬よりはいくらな長く続く間」ということなのです。この言葉で、ギー兄さんが言おうとしているのは、人生に喜びや意味を与えるのは、決してその長さではないということです。大切なのは、魂が喜びとも感動とも呼べるような何か強く深く濃密なものに満たされる感覚に歌えるような時間ーそれがどれほどわずかな持続であれ、少なくとも一瞬よりはいくらかは長く続くわけですーを経験できるかどうかなのだと。

 

結構ややこしいように思います。大江作品を理解するのには、大江本人と息子さんの事を知り、また大江作品ごとにその背後にある詩(イェーツ)や小説(トルストイ)との関連性を考えながら、また大江作品の過去の作品のことにも目配せしながら、その時々の大江作品は理解した方がいいという解説のように読めました。沖縄ノートしか読んだことがなかったと思うので、ヒロシマ・ノートはきちんと読んでみようと思います。