パリ環状通り パトリック・モディアノ 野村圭介訳

2014年12月4日第1刷発行

 

帯封「2014年ノーベル文学賞!モディアノ代表作 自らの源流を求めて過去を遡る『私』パリの夜を中古車に乗って『父』と共にすべるように走るー」「ノーベル文学賞への道は、ここから始まった‼『パリ環状通り』は、過去とのつながりを断ち切られ、混迷の現代を生きる『父』なき世代の屈折した心情を詩情豊かに描いた、きわめてアクチュアルな作品である。確とした支えを持たず、手さぐりで生きていくしかない語り手の『私』は、自らの源をもとめて過去をさかのぼり、夢のものとも現実のものともつかない父を執拗に追い求めるー(訳者「あとがき」より)」

著者

1945年生まれ。1972年『パリ環状通り』でアカデミー・フランセーズ大賞を受賞。1974年『ルシアンの青春』がルイ・マルによって映画化。1978年『暗いブティック通り』でゴンクール賞を受賞。1994年『イヴォンヌの香り』がパトリス・ルコントによって映画化。2014年ノーベル文学賞受賞。授賞理由は「記憶の芸術で、最もつかみ難い人間の運命を想起させ、占領時の生活世界を明らかにした」ことによる。

 

私アレクサンドル(小説家)の回りには、父「男爵」ディクケール(アンリ、シャルパ)、2人の兄ジャン・ミュラーユとマルシュレ、娼婦シルヴィアンヌ・カンフが絶えず登場する。最初の場面は、ホテル「クロ・フクレ」のバーで、私のほかに、父と2人の兄が登場し、そこにモー・ガラ支配人、グレーブ給仕頭が加わる(ホテルの持主はホージール夫妻)。前半は何がいいたいのか正直言ってよく分からない。ミュラーユは強請りのような仕事をし、マルシュレは陸軍大佐だった父の影響なのか部隊に志願するが後に幇間のような生活を送る。父には17歳の時、私は初めて会う。父はフランス蒐集家協会で私が他人の筆癖をまねた本を売りさばいて金儲けをする。そんな父とパリ小循環鉄道のジョルジュ・サンク駅のホームを歩いていると私は何者かに後ろから押されて急死に一生を得る。犯人は父なのだが、警察が来て事件化するか尋ねるが、私は何も申し立てることはないと繰り返し、警察を帰してしまう。その後、父に平静な口調で殺そうとしたか尋ねても父は答えず、そんな父にお祝いをしようと言って2人でビアホールで乾杯する。このあたりになると正直訳が分からない。

それから時が10年経過した場面に移る。父とマルシュレとミュラーユとシルヴィアンヌ・カンフが再び登場しクロ・フクレのバーで乾杯する。私は連載小説を書くことを約束する。

最後の方は夢の中で父と話をする私が出てくるのだが、話の内容が良くわかない。最後の最後で父と車で移動し、4人の男から暴力を振るわれ、父は一気に30年も年老いてしまい、護送車に乗せられ、再び私の中で全ての登城人物が幻のように登場して物語は終わる。曖昧模糊とした小説で捉え所がない。