『ニルスのふしぎな旅』と日本人 スウェーデンの地理読本は何を伝えてきたのか 村山朝子

2018年11月20日初版第1刷発行

 

セルマ・ラーゲルレーヴ(1858~1940)が20世紀初めに著した長編物語。初めて日本に紹介されたのは1918年(香川鉄蔵30歳『飛行一寸法師』刊行)。作品数は抄訳や縮訳、再話も含めれば150冊を超える。大江健三郎が受賞式後に行われた記念講演の冒頭で『ニルスのふしぎな旅』を挙げて話題となる。2018年に実施されたセンター試験「地理B」でも『ニルスのふしぎな旅』が登場(ちなみにこの出題により『ムーミン谷』がフィンランドなのか論争に発展)。スウェーデン人で初めてノーベル文学賞を受賞。

魔法をかけられたニルスは「鳥の眼」で大地を見下ろし、地上に降りれば「虫の眼」で見上げ、心の眼は「人間の眼」、この3つの眼でニルスは「私たちの国」スウェーデンを見ていく。『ニルス』は学校で使用する教科書の一つとして1959年まで半世紀余りまで版を重ね1・2巻の累計発行数は50万部を超える。100年の時を超えて「ニルス」は80か国以上の言語に訳されている。