日本では、離婚後に子どもの養育費を払う父親は2割程度しかおらず、その結果、母子家庭の相対的貧困率(一人あたりの平均所得の半分に満たない割合)が54.6%と先進国のなかで群を抜いて高い。
アシュケナージのIQはヨーロッパで110、アメリカで115とされている。アインシュタインやフォン・ノイマンなど現代史に名を残すユダヤ系の「天才」はほとんどがアシュケナージだ。
共同体の秩序を保つためには、抜け駆けをするような自分勝手な行為を禁止することも必要だ。旧石器時代には法律も裁判所もないのだから、この問題に対処するもっとも効果的な方法は、不道徳な行為に対しては怒りを感じ、懲罰するような何らかの本能をあらかじめ埋め込んでおくことだろう。ボ―ムは、これが「道徳の起源」だと考えた。いたるところに警察官を配置し、一挙手一投足を監視するように脳を「プログラム」しておけば、共同体の全員が「道徳警察」になって相互監視することで、秩序維持に必要なコストは劇的に下がるだろう。-近年の脳科学は、この予想どおり、他人の道徳的な悪を罰すると、セックスやギャンブル、ドラッグなどと同様に快楽物質のドーパミンが放出されることを明らかにした。ヒトにとって「正義」は最大の娯楽のひとつなのだ。
セレトニンを運搬する遺伝子(セレトニントランスポーター)にはL型とS型があり、この遺伝子が組み合わされて、「LL」「SL」「SS」という3つの遺伝子型が決まる(要するにこの順序でセロトニン濃度が低くなっていくらしい)。日本人は3人に2人がSS型で脳内のセロトニン発言量が少なく、不安感や抑うつ傾向が強い。これが、うつを日本の「風土病」にしているのかもしれない。
がここに大きな疑問があると著者は指摘する。進化の過程ではL型の遺伝子が先にあり、その後、S型の対立遺伝子が登場したが、これだとヒトはうつ病になるよう進化したことになってしまうのだ、とする。
実はLL型は「鈍感」なだけで、SS型は「良い環境と悪い環境のどちらにも、敏感に反応しやすい」というフォックスの仮説を紹介し、この仮説を支持する実験が行われていることも指摘する。これにより日本人は「ひ弱なラン」という著者の結論を導き出している。なので、複雑な尊敬語や謙譲語で相手の立場を忖度しなければならない日本社会は「高コンテクスト」の社会で、誰もが感じる生きづらさは私たちが暮らしているのがタコツボ型の「道徳警察社会」だからだ、とし、『置かれた場所で咲きなさい』と『嫌われる勇気』がミリオンセラーになったことはそんな日本社会を象徴していると述べる。
なるほどなあと思わず思ってしまった。