2021年2月19日 第1刷発行
ケンブリッジ・アナリティカ事件で見えたもの。
それは、データ通信がこれだけ発達すると、プライバシーは単に個人の領域に留まるものではなく、民主政の維持に必要なものである、ということ。
アメリカとヨーロッパのデータ戦争の背景にあるもの。
プライバシーを自由の観点からとらえるアメリカと、尊厳の観点からとらえるヨーロッパの違い。それは哲学的ないし歴史的理由に由来する(やはりナチスの情報濫用から人間の尊厳を守るためにデータを守るという思想がヨーロッパには根強い)。
グローバル・プライバシー・アセンブリ―に日本が2017年にようやく正会員になれたこと。
日本の課題は、公的部門の個人情報の取り扱いについて個人情報保護委員会の権限が及んでいないこと、これをどのように是正していくかという点にある。
人間中心の原則と人間介入の権利を明記するヨーロッパの姿勢は、恐らく日本も学ぶべきであろう。
コロナ時代の監視の問題、最近のリクナビの問題等、直近の問題についても言及されている。昨今の個人情報・プライバシーの諸論点をコンパクトにまとめた良書です。