どこかでベートーヴェン 中山七里

2016年6月8日第1刷発行 2016年7月16日第2刷発行

 

ピアノの天才・岬洋介。高校の同級生に嫉妬されながら、飄々として意に介さない。というか気づいていない。

同級生の岬の友達として登場する主人公が、高校で起きた殺人事件を、岬が解決していく様をそばでずっと見て、そして、人として成長していく、そんなミステリーです。

もっとも単なるミステリーではなく、天才といえど、努力のたまもの、とか、岬自身が難聴になる、とか、ベートーヴェンの楽曲を読者がイメージして読み進めていく構成だとか、単なるミステリー小説プラスαがこの小説の面白さ。そして何より最後にこの友が10年後に原稿に向かう。この友こそが●●(ネタはばらせません)。だから実話なんじゃないかなと思わせるような筆力です。久しぶりに面白いミステリーを読みました。