教養としての地理 激変する世界の変化を読み解く 山岡信幸

2021年7月1日 第1版第1刷発行

 

塾の講師をしている著者が、図形や数値をふんだんに使って、過去と現在を比較しながら、世界を大きく地域ごとに区分けし、時間の経過とともに変化している諸状況を分かりやすく説明している。個人的に面白かった豆知識だけ簡単に記すと、2019年末の難民数は7950万人で地球上のおよそ100人に1人が難民。フィンランドでは大学までの教育が無償化されている。腕時計と薬の競争力でスイスの1人当たりのGNI(国民総所得)は約8万3000ドル(2018年)で日本の約2倍。ITC産業が成長しているノルウェーは更にこれを上回り約8万5000ドル。2度もEU加盟に消極的になるのも分かる気がする。ボスボラス海峡とイスタンブールが地形的に要衝地であることを図解入りで分かりやすく説明し、トルコという国の立ち位置や人口ボーナス期にあるため今後の経済成長が期待されていることも数値で説明。エルドリアン大統領による2020年7月のアヤソフィアの方針変更にローマ教皇が遺憾の意を示すなど最新の情報も盛り込んでいる。オーストラリアのイギリス離れは進行していて国旗の変更まで検討されているとのこと。

 

 中学・高校の地理を今もって適用しようとすると浦島太郎状態となり、時代に取り残されてしまいます。昔の知識を刷新する必要性を痛切に感じた一書でした。