少女ポリアンナ エリナー・ポーター作 谷口由美子訳

2002年12月18日第1刷発行

 

読んでいて楽しくなる小説。ポリアンナの、どこまでも、前向きな、何にでも喜びを見出そうとする、その姿に、周囲の人が、小難しい人やら、偏屈な人やら、頭の固い人やら、どんどん影響を受けて、皆、ポリアンナのあるゲームに参加して、何にでも喜びを感じようとする前向きな姿勢に感染してしまう、という心が明るくなる小説です。

そんなポリアンナが両足が病気で動かなくなって、これをどう喜べばよいのか、さすがにしなだれた時に、これまでポリアンナから勇気と希望と明るさをもらった大勢の人びとが今度はポリアンナを励ます側に回って、次から次へとポリアンナを励ます。そのあたりは感動的です。

ポリアンナはかつて『パレアナ』として弘中つち子訳、『少女パレアナ』として村岡花子訳などがあったそうだ。1913年に出版されたそうなので今から100年以上も前の小説だが、若い人にも、大人にも読んでもらいたい。何にでも喜びを見出そうとする姿は、自分を楽しくさせるし、それを見ている周囲の人にも明るさを感染させる。こんなコロナ禍だからこそ、それを楽しんでしまう、喜びに変えてしまう生き方が、もう一度、振り返られてもいいんじゃないでしょうか。

この小説を読んで、トルストイの次の言葉を思い出しました。

「喜べ!喜べ!人生の事業、人生の使命は喜びだ。空に向かって、太陽に向かって、星に向かって、草に向かって、樹木に向かって、動物に向かって、人間に向かって喜ぶがよい。この喜びが何物によっても破られないように、監視せよ。この喜びが敗れたならば、それはつまり、お前がどこかで誤りをおかしたということだ。その誤りを探し出して、訂正するがよい」(『トルストイの言葉』小沼文彦訳編、彌生書房)。

 

古典的名作はいつ読んでも良いものですね。