第162回芥川賞受賞作 背高泡立草 古川真人

長崎の島に親族が集まって皆で草取りする。途中、戦後にワープしたような話が盛り込まれ、あるいは、時期はハッキリしないが、少年がカヌーでこの島にたどり着き、この島を出ていく話が出てくる。でも結局、草取りの話に戻る。最後の方で除草剤蒔いたら?と言われて、「つまらん」と答えるやり取りは、草取りをテーマにしているからこそでしょう。でも、この島のことを知らない人、草取りをそんなに親族総出でムキになってやらなくても、と多くの現代人は思ってしまうのではないかと思います。なんで空間的・時間的ワープの話が盛り込まれているのか、一定の読者には考えさせる小説なのかもしれませんが、この島のことを知らない私には、どうにも読みにくいというか伝わりにくい感じがしました。

最近の芥川賞って、どういう基準で選ばれているのでしょうか。私に読み解く能力がないだけならいいのですが・・・