とりかえばや物語  越水利江子

2016 年 3 月 10 日第 1 刷発行


こんなお話が平安時代にあったとは!?

 女として生まれた姉が男として生き、男と生まれた弟が女として生きる。そして時が来て姉は再び女として生き、弟は再び男として生きる。とりかえばや(とりかえてほしい)とはそういう二重の意味があったのだとは?! 二人の姉弟はいずれもたいそう美しく、ただ姉は男勝りで、弟は内気で大変人見知り。そのため、姉は男として宮仕えをし、弟は女として結婚する。後に姉は妻を娶とり、弟は次第に成長して何と別の女性に恋して身籠らせる。そんな最中、生粋のプレイボーイが姉を襲って姉は身籠ってしまう。ここまででもかなり凄い展開。これがとりかえばや(とりかえてほしい)だと思っていたら、その先に更に凄い展開が待っていた。

 生粋のプレイボーイは男として生きていた姉を好きになってしまい、男だと思って襲ったら何と女だと気づいて更には身籠らせてしまう。父に迷惑をかけられないと思った姉は、死ぬしかないと思いつつ、死んでしまっては父や帝に申し訳ないと思って、宮廷からある日突然逃げ出し行方不明に。プレイボーイの実家の別荘で出産する。行方不明になった弟が姉を探しに出る。

 成長した弟と姉が再会を果たし、弟は姉が演じていた男として、姉は女として生まれ変わる。そして姉は帝の妻となって子をもうけ、姉の妻だった女性の面倒を頼まれた弟はその女性との間で子をもうける。帝の子は帝位をつがれて姉は皇太后になる。
姉がプレイボーイとの間で生んだ子に、ある時姉が会った時、本当のことは言えないものの、母は本当は生きている、会いたくなったらいつでも私に会いに来なさいという。それを聞いた子は全てを察してくれたと姉は感じ、それをそばで聞いていた帝は全て真実を察した。全ての者が幸せになっていく中で、ただ一人、プレイボーイだけは、姉がいなくなってしまい愛しい人を想い続けていた・・・。

 凄い話ですよね。作者は不詳だそうですが、こんなストーリー展開を平安時代に思いついたというのも驚きです。作者は天才だったんでしょうね。