声に出して読みたい日本語④ 齋藤孝

2005年3月15日第1刷発行

 

目次は関係なく、私の好きなフレーズを抜き書きすることにした。

 

谷川俊太郎『朝のリレー』

この地球では いつもどこかで朝がはじまっている

ぼくらは朝をリレーするのだ 経度から経度へとそうしていわば交替で地球を守る

 

坂本龍馬〔姉の乙女あて手紙〕

 うんのわるいものハふろよりいでんとして、きんたまをつめわりて死ぬるものもあり。

 

ランポオ(小林秀雄/訳)『地獄の季節』

 ある夜、俺は『美』を膝の上に坐らせた。

 

葛飾北斎富嶽百景 跋文』

 七十三歳にして、やや禽獣虫魚の骨格、草木の出生を悟り得たり。ゆえに八十歳にしては、ますます進み、九十歳にして、なほその奥意を極め、一百歳にして正に神妙ならんか、百有十歳にしては、一点一格にして生るが如くならん、願くは長寿の君子、予が言の妄ならざるを見たまふべし。

 

河東碧梧桐正岡子規の弟子。写生をより濃く受け継いだ)

 赤い椿 白い椿と 落ちにけり

 

洪自誠『菜根譚

 静中の静は真の静に非ず。動処に静得らるれば、鑱かに是れ性天の真境なり。

 楽処の楽は真の楽に非ず。苦中に楽得らるれば、鑱かに心体の真機を見る。

 

近松門左衛門虚実皮膜論』(浄瑠璃評釈書『難波みやげ』より)

 芸といふものは実と虚との皮膜の間にあるもの也。

 虚にして虚にあらず、実にして実にあらず、この間が慰が有たものなり。

 

内村鑑三『後世への最大遺物』

 誰にも遺すことのできるところの遺物で、利益ばかりあって害のない遺物がある。それは何であるかならば勇ましい高尚なる生涯であると思います。

 

 それ以外にも、確かに、読めば味のある作品がたくさん紹介されています。

 このシリーズは、本当に、勉強になります。