あなたが世界を変える日 世界中を感動させた12歳の少女の環境サミットで語った伝説のスピーチ セヴァン・カリス=スズキ ナマケモノ倶楽部/編・訳

2003年7月15日初版発行

 

帯封「世界中を感動させた12歳の少女の『リオの伝説のスピーチ』!『どうやって直すのかわからないものを、こわしつづけるのはもうやめてください』 坂本龍一氏 その言葉を聞いてぼくは涙を流した。落合恵子氏 あなたの中のセヴァンによろしく!」「オゾン層にあいた穴をどうやってふさぐのか、あなたは知らないでしょう。死んだ川にどうやってサケを呼び戻すのか、あなたは知らないでしょう。絶滅した動物をどうやって生きかえらせるのか、あなたは知らないでしょう。そして、今や砂漠となってしまった場所にどうやって森をよみがえらせるのか、あなたは知らないでしょう。どうやって直すのかわからないものを、こわしつづけるのはもうやめてください。(小学校高学年から読めるふりがな付き・英文のスピーチ原文も掲載)」

 

本を開くと、冒頭に、こうある。

「1992年6月11日。ブラジルのリオ・デ・ジャネイロで開かれた国連の地球環境サミット。カナダ人の12歳の少女が、いならぶ世界各国のリーダーたちを前にわずか6分間のスピーチをした。そのことばは、人々の強い感動を呼び、世界中をかけめぐり、いつしか『リオの伝説のスピーチ』と呼ばれるようになった。『私たちひとりひとりの力が世界を変えていける』ということを、いまも世界中に伝えつづけている少女の言葉を、あなたに届けます。」

 

 5年後の1997年に国連の会議に再びリオに招かれて話をした。ゴルバチョフ大統領や世界のリーダーらと共に地球憲章委員会のメンバーとなる。現在、大学で生物学を学ぶ。

 

 巻末の編訳者あとがき(ナマケモノ倶楽部代表 辻信一 中村隆市)は、小説『モモ』を引き合いに出しながら、大人たちの大好きな言葉「豊かさ」「便利さ」といった言葉の正体を突き止めなければならない、ウラオモテのないことばであたりまえのことをすなおに実行した、ふつうな子でもあり、特別な少女でもあるセヴァンのことを、問題の大きさや難しさを前にして気がくじけそうになったときに、思い出し、この本を手に取ってみてください、と呼びかける。

 

 今から20年も前の本だが、記憶から完全に消えていた。いや目にも耳にも届いていなかったのかも知れない。近年ではグレタさんのスピーチが話題になったのが記憶の新しい。彼女は確か15歳だったが、セヴァンは12歳。少女たちが繰り返し訴えても、その時は感動するが、長続きしない、この世界。でも諦めずに、声をあげ続けて、きっと変えていかなければならない。それしか残された道はないのだから。