沢木欣一の百句 思想詩としての俳句 荒川英之

2021年11月20日初版発行

 

表紙裏「戦後五十年間の日本の平和、結構なことである。しかし世界では戦争の連続、冷戦も戦争のうちに入る。朝鮮戦争ベトナム戦争アフガニスタン・中東・湾岸戦争など。人類は戦争する動物か。東西あらゆる戦争は正義そして聖戦の名において行われて来た。そして最も悲惨な目に会うのはいつも弱い人・底辺の人間である。(沢木欣一「風木舎俳話」・俳誌「風」平七・八より)」

 

雪しろの溢るるごとく去りにけり  『雪白』昭和17年

出征旗まきつけ案山子立ち腐れ   『塩田』昭和24年

夜学生教へ桜桃忌に触れず     『地聲』昭和33年

良寛の乞食のみち田植かな     『地聲』昭和39年

還らざる島苦瓜の汁ねばり     『沖縄吟遊集』昭和48年

てのひらの鮎を女体のごとく視る  『赤富士』昭和44年

雀の巣あるらし原爆ドームのなか  『遍歴』昭和52年

秋すだれ毛沢東バッヂがらくたに  『白鳥』昭和63年

ひきがへるバブルバブルと鳴き合へり『交響』」平成3年

 

こういう分野での俳句があったとは知らなかった。