1997年10月20日発行
ナイロンザイルの実験は、原糸を製造している八代教之助の会社が行うことになり、教之助が担当になったことを妻の美那子に告げる。美那子は小坂が自殺したのではないか、魚津は自分をかばってくれているのではないかという思いが頭をもたげる。小坂の妹が美那子を訪ねて小坂のアルバム写真を一枚渡す。教之助は小坂の上司に面会し良心的に実験する、すなわち佐倉鉄鋼としては切れて欲しくないだろうが、そういうことに左右されないで行うことを承知してもらいたい旨伝える。そこに魚津が上司に呼び出されて現れる。公開実験が行われる当日、魚津は近くの海浜で昼寝をしていた。そこに実験を見届けた上司が現れ、切れなかったことを告げる。翌日朝刊で実験結果を伝える報道が各紙でなされた。上司に言われて八代に面会に行く魚津。実験は実験、事故は事故と八代に言ってもらいたかったが、無理だった。帰りがけに美那子に出会う。やはり美那子は小坂の自殺を疑っている。魚津は社に戻ると辞表を書かされ、嘱託で仕事は続く。帰宅すると小坂の妹が部屋で待っていた。原因を究明するために雪解け時期を待って小坂の遺体を探しに行くことになる。その前に八代にアドバイスを求めようとした魚津だが八代は関わり合いを避ける。美那子だけに小坂の妹を同伴して探索の旨を告げる。探索は目的を遂げ、小坂の遺体を発見する。ザイルは小坂の体についていた。検死を終え遺体を搬出した。ポケットから小型の日記が出て来た。遺書めいた言葉はない。妹が突然魚津に結婚して欲しいと言い出す。その晩魚津は美那子への思いに憑りつかれていたことに気付く。
