未来実現マーケティング 人生と社会の変革を加速する35の技術 神田昌典

2022年5月27日第1版第1刷発行

 

帯封「変わらない組織、実現しないアイデア、先の見えない人生… あなたに足りないのはたった一つ 変化を起こす力だ マーケティング 15万部ベストセラー『2022』から10年。SDGs×Marketingで導き出された斬新かつ超実践的な未来論」

表紙裏「この国に足りないのはただ一つ、マーケティングだ。SDGs17を一つひとつ取り上げながら、仕事と人生を、そして社会を変革するための『35のツール』を紹介する。著者の未来論&ビジネス論の集大成となる斬新な一冊。」

 

目次

はじめにこの国に足りなかったのは、たった一つ

序章 トップリーダーへの手紙

 妄想からしか、未来は始まらない

 イノベーション基盤としてのSDGs

 スムーズに革命を実現する、現代版「ええじゃないか」

 子供たちを、未来を創るコンサルタント

 イーロン・マスクスティーブ・ジョブズが育つ教室

 選択のタイミング――機械中心か、人間中心か?

 夢中になれるプロジェクトを発見する旅へ

SDGs17の目標を、マーケティングで解決する

SDGs1 貧困をなくそう

    ーホームレスから学ぶ「逆転ポジショニング戦略」

SDGs2 飢餓をゼロに

    ー自らの価値を確実に届ける「ザ・モデル」というフレーム

SDGs3 すべての人に健康と福祉を

    ーコネクテッド戦略で、すべてのビジネスが健康と連動する

SDGs4 質の高い教育をみんなに

    ーロングテール戦略により、教育の進化が始まる

SDGs5 ジェンダー平等を実現しよう

    ーー実現の突破口になる「ちょっとしたプロジェクト」とは?

SDGs6 安全な水とトイレを世界中に

    ー協力者を集める「パワーコンセプト」

SDGs7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに

    ー社会的大義は、お金にならない?

SDGs8 働きがいも経済成長も

    ー読書会は、繁栄する国づくりの原動力

SDGs9 産業と技術革新の基盤をつくろう

    ー第4次産業革命の突破口は、ダッシュボード

SDGs10 人や国の不平等をなくそう

    ービジコンが不平等を解決する

SDGs11 住み続けられるまちづくりを

    ー繁栄を持続させる、最強のマーケティング戦略

SDGs12 つくる責任 つかう責任

    ー重くならない、責任の担い方

SDGs13 気候変動に具体的な対策を

    ー1.5℃の呪縛

SDGs14 海の豊かさを守ろう

    ー複雑に絡みあった問題を解決する「逆算思考」

SDGs15 陸の豊かさも守ろう

    ーNFTで、森がお金に変わる

SDGs16 平和と公正をすべての人に

    ー「シャドー」を直視すれば未来が変わる

SDGs17 パートナーシップで目標を達成しよう

    ークリエイティブペアをつくるには?

あとがき 最後にお伝えしたいこと

巻末資料 対構造としてのSDGs

 

・冒頭の国家元首に宛てた手紙の内容は、俊逸だ。元外交官がマネージングとしてSDGsの17目標を活用することで、自己変革と社会変革を同時に成し遂げることが出来ると説くのだが、心から素晴らしい内容だと思う。

 正直に言うと、マーケティングこそが足りない唯一最大の問題という趣旨の帯封やはじめにを読んでも最初はピンとこなかった。が序章の冒頭に次のような記述があった。

「この目標は、ぶっ飛んでいる。なぜなら、もし本当に実現するなら、今からたった8年後にはー、

 貧困がなくなり、飢餓がゼロになり、すべての人が健康になり、質の高い教育を受けられ、ジェンダーが平等になり、トイレが世界中に設置され、エネルギーがクリーンになり、働きがいもある仕事で給料もあがり、技術革新が勝手に進み、不平等がなくなり、住み続けられる街がつくられ、誰もが製造と消費の責任を担い、気候変動が抑えられ、海の豊かさや陸の豊かさが復元され、すべての人が平和になり、なおかつパートナーシップを結べるようになる」

 これを実現するためには教育ルネサンスを実現し第4次産業革命をリードしよう、そして、そのためにあなたが夢中になれるプロジェクトを発見しようと訴え掛けている。なるほど!と思う。

・著者は、マーケティングとは「必要な価値(探求世代の人材)を、必要な人(企業の技術や知識)に届け、必要な変化を起こす仕組み(新規事業を多数か移出する仕組み)作り」の事である、と再定義する。

・そのためには、自ら進んで、変化に協力する人達とだけ繋がるようにするだけで良いという。100人いれば、協力者は6人現れ、そのメンバーだけで変化を起こし始めれば、周りから2人3人と協力者が現れる、そして協力者が12人を超えると、組織内で認識され、一気に30人、50人と浸透していく、それがマーケティングの真髄だ!という。

世界に共通の価値観が誕生した今こそ、このマーケティング手法が威力を発揮するという筆者の主張には説得力がある。

・17の目標実現のためのマーケティングの具体的な実践例はどれも刺激的な内容だが、その中でも、どうやって外発的動機ではなく内発的動機に火をつけるか?と問題提起した後、著者は私の観察によれば生きるか死ぬかの瀬戸際を体験した人の中に社会貢献への強い使命感を持ち卓越した実績を達成する人が多い、として東日本大震災後に設立された福島のふたば未来学園を紹介し、未来創造型探求のパイオニアであるとしている。思わず、膝を打ちたくなる!

・ないと死んじゃう、という発想でマーケティングを展開する。効果は抜群。テスラは、停電でも携帯充電できますという宣伝文句で家庭用蓄電池の広告を打った。

・読書会を4回開催すれば4年分の事業経験が積める。オンライン読書会!松下村塾適塾も議論する中で有為な人材を次々と輩出した。①不足した知識、②見えなかった個性が見え、③未来への希望を抱き、④理想の現実を作ることができる。

・プロジェクトを進める魔法の台詞「私の10倍目標は◎◎◎◎で、目下取り組んでいるKRは△△△△です。そして今、達成に向けてブロックになっていることは□□□□で、協力いただきたいことは++++です」を著者は毎日15分オンラインで行っている。このOKRこそがグーグルが人としての力を引き出し世界企業に育てた。

・大きな目標を掲げることでパートナーを呼び寄せることができる。2人組ルール。

 

うーん。面白い!その一言に尽きる。今年読んだ中で文句なしにNO.1だ。