家康、江戸を建てる2⃣ 門井慶喜

2017年5月31日第1刷発行

 

第二話(続き)

猶子となるために後藤家から細かい条件を飲まされた庄三郎だったが、全ては家康の小判鋳造を実現するためと肚を括って条件を全て飲み、家康の思惑通り、豊臣に貨幣戦争を仕掛けることを手伝った庄三郎は、いちいち重さを量らずとも枚数を数えるだけで両替にも購買にも使うことが出来る貨幣を通用させようと、一度は失敗するものの、家康が関ヶ原の戦いに勝利するや、新たな小判を発行し、地名表示を無くして日本史上はじめて貨幣の天下統一を果たし、日本の貨幣革命を起こした。

 

第三話「飲み水を引く」

家康から江戸へ水を引くための普請役を命じられ、七井の池(井の頭)から小石川上水を整備した菓子作り名人の大久保忠行(通称:藤五郎)。この功績により家康から「主水」の名を与えられたが、にごりを含むのはおもしろくない、今後も澄んだ水を供給せよとの意味を込めて 「もんど」ではなく「もんと」と読むよう命じられた。その後、小石川目白台下の河流を神田方面に通して神田上水を普請した百姓上がりの内田六次郎と若き春日与衛右門。

 

第四話「石垣を積む」

家康は千代田城建設の着手を決めた。代官頭の大久保長安は、見えすき吾平と呼ばれる採石業者の親方の噂を聞き、千代田城のための石を切り出すように命じ、石切りの親方吾平は、石の節理を読み、どこに鑿を打てば石が割れるかを見極める名人で、伊豆の西半島の天城山の北西部で危険な切り出し作業に取り組む。五平の第一の腹心与一は墨師で、五平の指示を視覚化し、天下一の石を切り出したが与一は命を失った。