毎日が日曜日《中》 城山三郎

1991年4月10日発行

 

沖はスマトラで一大プロジェクトを手掛けた日々を懐かしみ、トウモロコシの大量取引のために10万頭養豚計画事業を形にしようとあれこれ企画をしていたが、本業の京都支店長としては十分な接待の仕事をマスターすることもなく、逆に祇園の仕組みが分かっておらず、ある時、社長が急遽大文字見たさに京都出張した際には馴染みの祇園の手配が出来ず、ビアガーデンに連れて行くことしかできなかった。定年退職でバンザイした笹上は暇を持て余し動物園に入ったり、かつての同僚にばったり会った際には田舎に引っ込んで暮らしている同僚の家に突然旅したりと、気儘な暮らしをしている。そんな笹上に再婚を考えさせるために沖は祇園で知り合った芸妓を上京させて笹上のマンションに行かせたが、後日花代を請求されて祇園の仕組みをそれこそ知らない己の不勉強を猛反省する。芸妓は笹上がオーナーを務める貧相な店に連れられていくがとても後妻など全く眼中になかった。